【稽古日誌】逃げない自分を見つけるために

24日の土曜日、今日は監督を務めている中部大学の少林寺拳法部において幹部交代式。
4年生が3年生へと責任を受け渡す日。
 
 
 
業務だけの引継であれば説明も簡単なんだけど、この拳法部には長年の伝統があるんです。
それは、この日、先輩と後輩が真剣に遠慮なく拳をぶつけ合う、というもの。
 
同じ大学生とは言え、体格差、腕力差、技術の差など、強さにおいての差が当然あるんです。
普段の練習では真剣に練習することはあっても、当然、相手の身体を気遣い、ケガをさせないように、遠慮をします。
また、特に、少林寺拳法は相手を倒すことだけを目的にしないものですし、練習の内容もただ、闘い倒すというものよりも、より、速く綺麗に、難しい技を・・・という練習の方が多くなります。 
 
 
 
ただ、この日だけは相手と力一杯、闘いあおう、それで、先輩が後輩へと気持ちをつなげていく、という事を行っています。
 
しかも、ただ、闘う、というのではなく、この一週間、先輩は後輩を鍛え抜くんです。
ひたすら走ったり、腕立て、拳立て、スクワット、ミット打ち蹴り・・・これまで経験したことのない厳しい稽古を強いられます。
当然、身体はボロボロ、普段柔らかいままの拳は皮がめくれたりして、出血します。
きっと、外からこの様子を見ている人がいれば、なんのために行うのか、わからないはずだし、近寄らないはず。
さらに、権力をもったお節介な人であれば、親切心から、意味の無いことはやめろ、と助け船を出してくれるかもしれません(笑)。
 
 
 
でも、違うんです。
お互い厳しい練習を乗り越え、真剣に拳を交わした後には涙が出てきます。
それは、それまでの4年間をともに稽古してきた絆があるからかもしれませんし、自分が心地よいと思っていた居場所を離れなくてはいけないという悲しさかもしれません。
理由ってつけることはできるんですが、わからないんです。
 
 
 
その真剣な闘いは男も女も問わずです。
女性も男性に立ち向かっていきますし、男性も手を抜くことはありません。
 
自分がそれを行った17年前とは違い、今回は観察者としてその姿を見せてもらうことで、色々なことを考えました。
闘うって怖いことです。
特に、普段から、相手を倒すことに執着している人たちではないですし。
この時の身体はボロボロ、しかも相手を倒して一本とることが目的でもないですし。
ただ、2分、真剣に一生懸命、殴りあい、蹴り合うのです。
自分が持っているものをぶつけ合うって、言葉では簡単だけど、難しいです。
 
 
 
理由はやっぱり、怖いから。
自分の中にある感情が身体を止め、気持ちに逃げを生みます。
しかも現代は無用の争いをさけ、仲良く、しようって気持ちがお互いの中にありますから。
 
この日の闘いで感じられるものは自分の中にある感情の部分。頭で考えてもどうしようもない自分をみつけることになります。
 
もちろん、普段でもその感情の自分って見つかるんですよ。
ただ、この社会は高度に成熟して、たくさんの人が自分を助けてくれる社会です。無意識のうちに、その助けに依存してしまい、自分の中にあるものは弱いものだ、と認識してしまいがちです。
 
でも、この闘いは目の前の相手と二人きりの世界です。
もちろん、やだ〜と逃げ、その場から逃げることもできます。
しかし、そうであれば、4年間、その場で練習を続けることもできないはず。
 
 
 
自分が当たり前に過ごしてきた4年間が実は自分の中に逃げないですむ自分を作っていたことに気づくためにこの闘いはあるのかもしれない、って思いました。
蹴られ、突かれることで痛みが自分を襲います。
でも、逃げない、って気持ちが自分を前へと進ませてくれるし、相手に向かう気持ちを頭では止められなくなるんです。
こんなにも普段と違う自分に出会う事って、この平和な日本ではちょっと難しいもん。
 
 
 
とにかく、理由はわからないけど、自分の中になにか「ある」という体験の一つになることは間違いないはず。
一応、監督であり、大人であるので血だらけになる様子を心配しながら見ていましたが、それ以上にすてきな笑顔に感動をもらって帰ってきました。
 
 
 
 
ただ、この感動も、また始まる日常をくらしているといつのまにか忘れたりするんです。
私はそうでした(笑)。
自分は足りない、ダメだダメだ、と思ってしまった私を助けてくれたのが、甲野先生であり、武術を通しての「身体」の感覚に注目することでした。
 
自分の身体は毎日の中でものすごく、精妙な働きをしているんだ、とこの17年間、ずっと、止まることなく、楽しませてもらっています。
自分の中になにかある、って気づく作業はまさに、成長を実感することそのものです。
今は出来ないことがあっても、それ以上に自分の中にある成長していく力を感じられると、まぁ、なんとかなるだろう、って安心した気持ちを持つことができます。
 
 
 
大学生の子たちは自分自身に対して明るく、前向きです。
就職、勉強と大変な事を抱えて心配を持っていますが、それ以上に、前をむく明るさを持っています。
このまま、歳を重ね、死んでいければ幸せかもしれません。
しかし、なかなかそれって難しいですよね。色々とわかっちゃうもん(笑)。
でも、そのわかると言うことが実は自分の身体をベースとして生まれているものなんですよね。
基準である身体そのものを変えていくことで、どんどん、先入観が壊れ、新しい価値観を作り出せていける事がわかると、未来に対して恐れを持たなくてもいいかもしれない、って明るい気持ちになることができます。
 
年齢を重ねて不安になるんじゃなくって、年齢を重ねれば重ねるほど楽しくなる生き方に出会わせてもらって、本当にありがたいです。
今度はそれを伝える番だと思っています。ちゃんと、一生懸命、全部、伝えますからね!
覚悟しておいてください(笑)。

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