松聲館訪問紀

あぁ、確かに昨日の事なんだけど、まったく現実感がない。
思い返すと夢のように思えるのはなぜだろう・・・。
ずっと、心残りだった事を一つなすことが出来て、ホッとしてます。
 
甲野先生の道場、松聲館へお伺いして稽古をつけていただいた話を忘れないうちにお伝えしますね。
 
 
 
実は松聲館へ足を運ぶのはなんと、13、4年ぶり。もう、覚えていないぐらいなのだ。
甲野先生ともお話をして、私が今度結婚する、って話を道場でしたのが最後じゃないか?と言われましたので、きっと、そうです。
もう、なんという弟子でしょう(笑)
 
 
こんなにも良くしていただいているのに、師匠の下へ足を運ばない弟子・・・。
名古屋、浜松に来ていただく事で、ついつい、甘えてしまっていました。
それがもう、ずっと、心の奥に引っかかっていて、昨日、それがようやく実現した次第です。
 
 
 
そもそもこの日をお願いしたのは、前日夜、浜松で稽古があり、その後なら車でいけるな・・・って考えたから。
浜松での大人の武道塾を終え、その足で東京へ。
久しぶりの関東遠征です。
それにしても夜の高速はトラックぱかり、しかもすごい数。途中、休憩したPA、SAにも入りきらないトラックが山ほどいて、その迫力にもう、負けそうでした。
 
太刀どりの解説に最近使っているのは車線変更と人ごみの中をすり抜ける動き、大都会人でなら自然とこなせる動きでかわせますよ、って(笑)
私は生粋の名古屋人、大きな田舎人ですから、気持ちを引き締めないと、狭い車線でのすばやい車線変更も人ごみの中を歩く事ができません(笑)
 
改めて東京の人の動きを観察しましたが、やっぱりみんな、滑らかですもん!
もう、すでに、刀を交わすだけの動きは備わっているんですね。
 
 
 
いやいや、余りにいろんな事がありすぎて、どこから書こうか迷っていますが、どんどん、思い出したまま書いていきます。
久しぶりに伺った松聲館、東京でありながら、外から眺めると、小さな森になっているんです。敷地に植えられた樹木が気持ちよく外へと開放していて、一瞬、都会にいるのを忘れてしまうぐらい。
それでも、先生いわく、敷地は狭く、ただ樹木が張り出して、大きく見えるだけだからねぇ、なんて言われてましたけど。
 
道場の入り口に向かう坂道を歩いていると、昔の記憶がぐっとよみがえってきます。
当時はまだ、何も背負うものも、守るものもなく、ただ、その日を暮らすだけの能天気な人間でした。
松聲館へ伺うと、退屈な毎日がパッと変わる感覚があり、ワクワク、ドキドキ、緊張しながらこの坂道を歩いたものです。
 
 
 
懐かしい思いを胸に、道場への入り口をくぐり、先生にご挨拶。
今月初めにお父様を見送られ、大変な時期に伺うのも気になっていましたが、逆に、この時に伺うことができてよかったかもしれません。
 
久しぶりの道場は昔と変わらず、いや、その頃以上に、先生の文筆業の仕事の場が侵食してました(笑)
道場の半分まで向かおうかと言う場所はまさに、仕事の場という感じで雰囲気たっぷりでした。かっこいい!
 
 
 
挨拶もそこそこに稽古をつけてくれたのはきっと、私のためです。
凝縮系と伸び伸び系の技から変わって微振動を生かすといわれていました。
凝縮と伸び伸びが直流のような働きだとすると、微振動から生まれる力は交流のようだ、と言われていましたが、その身体の細かさは触れて見ると、全く違う動きだ、ってわかるはず。
 
次回、1/6に浜松1/27に名古屋に来ていただける事になっていますので、もし、体験したい、って方はぜひ!!
 
 
 
道場に向かう前に行った浜松での大人の武道塾。そこで研究テーマにしていたのがまさに振動。もちろん、その振動のレベルは違いますが、どうすれば、自分の身体をもっと速く、細かく動かす事ができるんだろう?と。
手首を揺らす事で生まれる速さも普通に技を行うには十分すぎる速さがあったんだけど、人間の適応力ってすごいんです。
気がつけば、その速さが自分にとって、普通の速さになっていくんですよね。
そして、もっと速く動く方法はないかと求めた時に、関節を動かさない細かな振動を考えるようになっていたんです。
 
それでも、必要にならなければなかなか身体は変化しません。
自分の技を相手に伝えて、自分の動きを止めてもらうことで、次の進化につなげる。それが今のスタイルですが、先生を前にすると、先生の持っている速さを身体がキャッチするんです。
そして、必死にその速さについていこうとすることが、なによりの経験になるんです。
どうにかして間に合わせなきゃ、と抵抗しているうちにだんだんと速さになじんでくるのかもしれません。
 
 
 
細かく微振動を身体に生ませて、まるで身体がミツバチの群集になるんだそうです。
抑えきれないその動きは説得力があります。
きっと、横で見ている人がいたら、私が簡単に崩される様子を八百長ってみるんだろうなぁ・・・。
いろいろな技を手を合わせて研究モードにお付き合いさせてもらうのは本当に久しぶりです。最近はホテルの一室やロビーで数分手をあわせる事ばかりでしたから(笑)
 
学び始めた時、なにが一番大変だったか、というと、先生の技を受け、それを言葉で表現するのがなにより、苦手でした。
中にはその微妙な感覚を絶妙なたとえで言葉にしている方もみえましたが、いつも、それをみて、いいなぁ、って思っていましたもん(笑)
 
もちろん、今もそれは苦手ですww
ただ、言葉に出来ない分、身体に任せるってのは上手になったかもしれません。
受けた技を出来るだけ速く、コピーと言うか、その動きの速さに任せてみることが、手放す事を手助けしてくれている感じです。
 
 
 
そんな感じで二人で稽古をしていると、なんと、そこにご子息のハルさんが。
数年ぶりにお会いするハルさんは実に雰囲気たっぷりな人です。たしかまだ、20代のはずなのに・・・(笑)
用件があって来られたとの事でしたが、先生にせっかくだから手を合わせてごらんと言われ少し、手を合わせました。柾目返しと直入り身です。
その直前、先生と手を合わせ、微振動の動きを身体に取り入れていたからでしょう、いつも以上に、身体が細かく速く動き、良い稽古になりました、なんて言われて調子に乗ってました(笑)
 
サプライズはまだまだ続きます。
なんと、今度はそこに甲野先生の奥様が!
これまで何度か道場に伺っても、一度も拝見した事がなく、当然、お話をするのも初めて。
想像以上に柔らかな姿になるほど、先生が自由に仕事をしていられるのも奥様の自然なサポートがあったからか・・・と。
 
 
 
改めて、ハルさんや奥様に先生との出会いのおかげで今の幸せな自分がいるんです、って事を伝えさせてもらい、無意識に感じていたこわばりがどんどん取れていくのが分かりました。
今回挨拶だけでも・・・と思っていたところ、稽古もつけてもらい、皆さんにもお会いできました。
ぽぉ~っと気持ちも上に上がっていたところ、運ばれてきたのは、なんとお食事!!
 
もう、このサプライズの連続に、揺らされるままで先生と共有させてもらったこの瞬間はきっと、この先忘れられないものになりました。
 
気がつけば3時間半・・・。
最後に奥様から出版に関わられたと言う易学の本を頂き、レクチャーを受け、なぜ、私の影の趣味を知っているのだ!という気持ちを隠しましたが、ばれてたな、きっと(笑)
また、先生から袋竹刀まで頂き、一体、なにをしに来たのやら・・・。
これまで以上に、人間の探求、生きることへの追求をして、ともにそれを求めていける仲間を広げていきたいなぁ、と思い道場を後にしました。
 
 
 
放心状態の帰りの運転はさすがにつらく、途中、何度も休憩を取って、名古屋へと帰ってまいりました。
心の中に今度は仲間を連れてうかがおう!と決めましたので、また、先生にお願いしちゃおうと思っています。力を貸してください(笑)
 
 
 
稽古のところなど、ずいぶんはしょって書きました。
また、手合わせの様子は改めて、お伝えします。

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