楽しいから笑うのか、笑っているから楽しいのか、答えは見つかった!

お盆の休みが終わり、文化センターの講座、大人の武道塾が再開。
この休みの間ずっと、アタマにあった「顎のキャスター」について、ようやく、その働きを試す事ができる。どんなに立派な考えも、動きとして技に変わらなければ、ダメだもの。甲野先生の言われた「出来ねば無意味」は重い。
 
 
実感として、股関節や肩甲骨よりもさらに細かな動きができそうだ、と感じていても、実際に技の中でどれだけ有効なのかは試してみないと分からない。
いつものように話をしながら、柾目返しや浪の下、直入身など、シンプルな動きで試してみると、そのほとんどが「予想通り」で、平然を装いながらも内心驚きと安心で変な気持ち(笑)。
アタマの中でできそうだ、と感じて、ここまでぴったりと技にはまったのは初めての経験だったなぁ。
 
 
 
その理由はきっと、顎の関節は「キャスター」の動きという共通点から生まれたものだから。使うキャスターは股関節から顎に変わっても、働き自体はキャスターそのものだからだろう。
自分の中にもうすでに、「ある」、というのを実感するには股関節から顎への探り方は面白いので、おすすめする。
 
 
 
それにしても、改めて思うのは、昔から言い伝えられていることの大切さ。
良く噛んで食べなさい、とはきっと、みんな言われていると思う。でも、実際に、良く噛んでいるかと言えば、もう、良く噛まなきゃいけない食品も減っているし、どんどん、忘れられてきているんじゃないかな。
 
 
スルメのように噛めば噛むほど味がでる食べ物から、口に入れた瞬間、甘く、とろけるものばかりの世の中になった。
もちろん、そういう食べ物で育った私は、それに対して批判は出来ない。でも、顎の関節を通して自分の身体が分かってくると、この甘くて、口溶けのいい食品が結果として、自分の身体の力を忘れさせている事に気づいてしまったのだ。
 
 
これまで、子供たちには良く噛んで食べなさい、と言ってきた。でも、実際には私自身が良く噛んでいない。
 
身体の事を考えたりすれば、モグモグ噛んでいたものの、それ自体が楽しくて噛んでいるかというと、そうじゃないんだよなぁ。
自分がやってイヤなこと、面倒なことを必要なことだからといって押しつけても、そこに説得力なんかでるはずがないもの。うそつきだからね、それは(笑)。
 
 
 
でも、自分の顎を感じるようになって、もう、この顎をとにかくどう使えばもっと、しっかり、噛めるのだろうか・・・と考えるようになった。
とにかくこの顎を使うこと、はめておくことが、自分にとって、幸せなんだと分かってしまったから。
 
 
 
 
本屋さんに行けばたくさんの「幸せ本」がある。
そして、その多くは「笑顔」を忘れない、という事が書いてある。
 
人は楽しいから笑うのではなく、笑っているから楽しいのだ・・・と。
 
 
 
 
スピリチュアルな本も、身体と脳に電極をつけ、科学的に調べた本にも、人にとっての幸せは身体が先、と書いてあったりする。
もちろん、武術は身体から。
どんなに恐れが生まれる場面であっても、構えを崩さずにいることが、自分の心を持ち続けられるものとして、型が存在している。
 
 
 
・・・でも、実際にはどうだろう?
目の前にある単調な仕事、イヤな上司、本音と建て前ばかりの政治、病気やケガなどの個人的なアクシデント。
そんなものを前にして心の底から笑える奴なんて見たことがない(笑)。
 
 
 
その瞬間の自分が愉快ではない、というのを自分自身が一番良く知っているからだ。
 
武術はそこで、徹底的に試す。
口先で自分は幸せ、と言っても、抑えられた手を上げるのに、苦労するならば、それは、身体的に見て、イヤだと思っているのだ。
身体は言うまでもなく、無意識の塊。その身体がそれではダメだよ、とわかりやすい形で教えてくれる。
 
スピリチュアルに傾倒している人たちは徹底的にネガティブから目を反らす。
心の底からポジティブになっていればいいけど、知らず知らずの間に逃げになり、ネガティブになったりして、逆に働いて困っている人も多い。
 
まぁ、そういう経験から、一度打ちのめされて、あきらめることで、自分の持っていた力みが抜けたりもするから、一つの道では有ると思うけども。
今の時代はとにかく親切だから・・・。自分自身に向き合うよりも早く助けられちゃったりすると、甘えが出て、なかなか自分が持っている本当の力に気づくことが出来ないんだよなぁ。
 
 
とにかく、武術を必要とする瞬間は、誰にも力を借りられない瞬間。だからこそ、自分の持つ力に気づくことができる。
股関節から指の関節に気づき、顎にまでそれがある、事に気づけたのはもっと、より、小さく、働きのいい身体はないのか、と求めることが出来たから。
心配しなくても、みんな必ず持っている、そういうことを伝えられたらなあ、と願ってならない。
 
 
 
 
人は楽しいから笑うのか、笑うから楽しいのか。
その答えに今回、確信が生まれた。
 
人はやっぱり、楽しいから笑うのだ。
楽しくないのに笑顔を作っても、それは無意識的にはニセモノだもん。
 
では、楽しくないときには笑えないのか。
そう聞かれれば、そう、と答える。
でも、どんなときにも楽しさを作り出せるのが「人」なんだ、と今は言える。
 
  
 
西洋と東洋っていろんな意味で正反対。
望遠鏡を作り、宇宙の姿を探しているのが西洋的。それに対して人間の中にある宇宙に気づき、それを探るために外の世界に目を向けるのをやめ、目を瞑ったのが東洋。
 
 
 
人が感じる「楽しい」というところにもそれはつながっている。
 
この日本は変わった国だ。
東洋でありながら、今、世の中はほぼ、西洋的。
毎週毎月、たくさんの雑誌が出て、テレビも新しいチャレンジでさらなるおもしろさを提供し続けている。
僕らはただ、ここにいるだけでどんどん新しいなにかを与えられ、楽しくなることが出来る。
 
しかし、それは楽しくしてくれる誰かを常に必要としてしまうのだ。
しかも、楽しさを与えられている方は経験によって賢くなり、それまで楽しかったモノも慣れてしまって、分析しだすととたんに退屈になる。
こんなにも平和で豊かなのに幸せを感じられずに自ら死を選ぶ人が多いのは何故だろう、と思っていたけど、与えられる楽しさを追い越しちゃうんだな、きっと。
 
 
 
顎をはめるとどんな事が起こるか。
顎がガチッとはまった瞬間、そこに「愉快」な気持ちが生まれてくる。
どうやらこの身体はパズルのようなもので、骨格が収まる場所に収まると、その人にだけ分かる楽しさが生まれてくるのだ。
 
 
 
ちなみに頭蓋骨は22,3個の骨で出来上がっているのだそう。
その全てを知っているから愉快なのではなく、たった一つ、顎の骨が収まった、という実感だけでただ、愉快なのだ。
 
まず、自分の身体に愉快さがあれば、目の前がどんな事になろうとも、それに立ち向かっていく事が出来るかもしれない。
 
 
 
仏教の言葉に二の矢をつがない、というのがある。
どうも我々はイヤなことから全く逃れることはできないらしい。一つ目の矢はあたってしまうのだ。でも、その次の思いをどうするかは自分の力でなんとかできるものなのだ。
もちろん、やられてしまうことも有るだろう。
それでも、そのやられてしまう、という経験がまた、材料になり、違う自分、見えていなかった自分に気づかせてくれる。それが稽古だ。
 
 
 
骨をはめる、骨がはまる。どっちでもいい(笑)。
自分発の楽しさを作ることが今の自分にできるんだ、と分からせてくれたのが顎のキャスターなのだ。
 
 
 
今、顎関節症という病気が増えているらしい。
親知らずも問題だし、子供たちの中には永久歯が生えてこない子もいるらしい。
一つは顎の形が変わってきたから。
 
おそらく、それは正しい。外から見れば確実に顎の形は変わっているだろうから。
でも、「なぜ」そうなったのか。自分はどうなのか、という問いを持たなければ、自分の中に不安の種を蒔くだけになってしまう。
 
 
 
重力に従い、顎が落ちている。これは肩にも股関節にも起きていること。
下に落ちていくのだから、キャスターの構造が働くべきところに隙間が生まれる。隙間が生まれてしまえば、せっかくのキャスター構造も使えないもの。
無理に筋肉に頼ってしまうと、いつか、その筋肉を失えたときに痛みとして症状が現れてしまう。
 
 
 
つい、そうならないための対策は・・・と考えてしまうけど、これがいけない(笑)。
イヤなことは続かないから。
 
 
何度も言うけど、骨がはまると楽しいのだ。
骨をはめる感覚に気づければ、やめろ、と言われても、つい、やってしまうだろう(笑)。
そして、いつしか、それが習慣となり、骨格は本来有るべきところに落ち着くはず。
その「結果」無駄な力みを生む筋肉はなくなり、痛みは出ない。
結果としてそうなってしまう、というのをワスレてはならない。
 
 
 
そうそう、顔のお手入れに関してはなんと言っても女性にはかなわない!
我々男性はこの顔よりも外にあるモノに注目しちゃうから。
 
毎日の肌のお手入れはもちろん、しっかりと顔の運動を行い、表情筋を鍛えている人も多いかもしれない。でも・・・・。
 
きっと、これは、危険なこと!
 
なぜなら、たくさんの筋肉はたくさんのトレーニングでつけることができるけど、それはトレーニングをやめた瞬間、脂肪へと代わり、おもりになる。
顔の筋肉が落ち、下へ下へと落ちていってしまうかもしれないのだ。
 
顔は「結果」なのだ。
ちゃんと骨格をあわせておけば無駄な筋肉は必要ない、と身体は判断する。
明日、明後日には変わらないけど、骨格と筋肉と脂肪の関係は10年、20年経ったときに大きく違ってくるはず。気をつけたほうがいいです。
 
 
 
それにしても人間の身体は不思議。
このアタマの中にも蝶形骨という骨がある。骨盤を思い出してみてほしい、あれも、蝶のような形をしてるよね。
 
 
 
西洋人は宇宙という全体を求めた。
東洋人は人間の中に宇宙を見つけた。
そして、それはどちらも正しいんだと思う。
 
フラクタルという考え方があって、全体と一部には関係がある、というモノ。
つまり、全体を整わせようとするなら、そのごく一部を整わせればいい、という事になる。
 
股関節も肩甲骨も、指の第三関節も、顎もキャスターの構造を持っている。
だからこそ、どこのキャスターでもそろってしまえば、身体全体が整ってしまうのだろう。
 
 
 
幸せになりたいのなら笑顔でいなさい。
なんだかんだ言っても、一言で言えば、こうなっちゃう(笑)。
しっかり、噛んで、しっかりはめて過ごしましょうね。
 
 
 
そうそう、小顔矯正の整体も顎関節が関係しているって。
やっぱり、感性は女性にかなわない(笑)。
 
 
 
 
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