台風の影響で名古屋も雨風が強い一日でした。その中わざわざ個人稽古にきてくれたK山さん。これまでの定期稽古にはほぼ出席の皆勤賞。今回はじめて個人稽古にこられました。
K山さんは普段の稽古では聞き役になることが多いので、やっぱり聞きたいことが増えてきたのかなぁと思っていると、彼いわく、
「カラダを通してでしか、分からないですから・・・」
思った以上に僕が伝えたいと考えていた事を分かってくれていてとてもうれしかったです。
わかりやすい言葉には気をつけなくてはいけなくて、分かったと思った瞬間にそれはもうココロには入ってこない気がします。安易に分かったと思ってしまうとその後の発見や気づきはなかなか出てきませんから。
さて個人稽古ですが、時間的には2時間ぐらい。これぐらいが丁度いい感じです。普段は個別の技にどうしても時間を取られてしまいますが、技は結果としての形ですから、その技を成り立たせるために少しずつ考え方を変えていく事が大切です。
例えば重心操作。普通に暮らしていると、どうしても自分が不安定になる事が怖いんですね。すこしでもぐらついたりすると、一気に自分の制御圏内を飛び越えてしまうんです。甲野先生も言われていますが、「不安定のつかいこなし」を考えてみるといいでしょう。
いきなり転ぶような稽古はさすがにお薦めできませんが、座った状態での前や後ろ、横への転がり、つまり受身ですね。筋肉主導でヨイショ!というのではなく、倒れていくようにふわっ~っと転がる事もいいでしょう。
自分の重心を感じれるようになってくれば、それを制御しながら稽古をしていけばいいわけです。その方法の一つが壁抜け。重心を腕に近づけて自分のカラダの限界を感じます。そしてそのカベを動かさないように自分の重心をそとに動かしていくわけです。
この時自分が倒れないのは相手がいるから。相手との相対バランスのおかげで倒れないわけです。自分が不安定になる事に対して過度に怖さが残っているとなかなか難しいですが、やれてしまうと自転車に乗るようなもので恐怖はなくなります。
今は重心としてお話をしましたが、それをココロといったり、意識といったりしても構いません。自分がカラダだと思っているものよりももっと深いレベルがあるということを分かってくれたと思います。
個人稽古の良い点は話をきいているだけではすまない所ですね。大勢の中の一人ではウンウン、と頷いていればいいですが、1対1ではそうは行きません^^
積極的にこちらも聞いていこうとしますし、なんとか言葉にして欲しいなぁと思っているわけです。それは言葉にする事で自分がそれまで意識していなかった部分に気づく事ができるようになるから。
私自身も今こうして変わってこれたのは、甲野先生との物理的な距離のおかげで名古屋での稽古は自分が引っ張っていかなくてはならなかったから。自分の感じたことを素直に伝えて、それを研究していくしかなかったからだと思います。多分いつもお会いできるような環境であれば、べったりと通っていたと思いますが、それでは自分の考えを育てていく事はできなかったでしょう。
まずは自分の感じている感覚を相手に伝える、それを意識してもらって、言葉にしてもらう。その繰り返しの中で自分なりの新しい感覚をつかんでくれればうれしいです。
とにかく甲野先生との個人稽古では、技以上にその場にいることがうれしかったわけです。その稽古のおかげで自分の稽古のモチベーションがどれだけ上がっていった事か・・・。自分にそんなことができるかなぁ、と不安になりますが、動きと一緒で日々研鑚です。
あ~、一緒ですぅ。
距離が離れている分、頑張らないとと思い、自分で色々試行錯誤したことはとても良い経験だったと思います。
距離が近くていつでも会えると思うとそれに甘えてしまっていたかも知れません。
甲野先生と出合った頃、香川に数ヶ月で黒帯をも唸らせるほど上達した人がいる・・・と聞いてどれだけ力をもらった事か^^(という事は今の自分があるのもお気楽旦那様のおかげなのかも!)
先生だけが凄いって、結構続かないものですからね。