大人の武道塾

【反射神経】その11 バランスの発見

その1 もう一人の自分がいた

その2 わからなくても、大丈夫!

その3 指先がかってに動いた

その4 もう一人の自分との出会い

その5 「自由な自分」と「困っている自分」

その6 分離と統合、親子関係について

その7 自由な手があれば、自由な足もある

その8 地球を親と考えてみる

その9 武術は自分を確かめられるからいい

その10 新たな問い

少しだけ、浮きを実感するための稽古についてお話をしておきますね。また、詳しく書きますので、それまで、色々とご自分でお試し下さい。

揺れる電車の中で立っているの想像してください。バランスを取るために意識を集中しなくてはいけませんね。でもこの時、手すりや壁に手を触れていたとしたらどうでしょうか?軽く手を触れているだけでもバランスはものすごくよくなりますよね。決して力強くその手すりにつかまっているわけではありません。指先ひとつ触れているだけでも大違いです。

単純に考えてみました。二本足で立つよりも三点でこの体を支えた方が安定が取れるんではないだろうか?

このアイディアはなかなか良かったみたいです。手すりの代わりに杖で試してみました。肩幅にたちます。横から押してもらいます。二本足であれば片足で支えるしかありません。どちらかの足に偏るという事はもうその瞬間、浮きはなくなっているという事です。

そこで実験です。杖を持って同じように押してもらいます。杖の先を地面にふわっと軽く当ててみてください。押し付けて支えている訳ではないのに、両足がふわっと浮いていることに気がつくと思います。

押してくるという力に対して、バランスで対抗する事が出来るということに気が付いた瞬間です。

こんな身近な中で私達は「浮き」を使いこなしているんです。でも、だんだんと揺れない車や電車、きれいに舗装された道、バランスの取れた社会などのおかげで、「揺れ」自体がなくなってきました。大丈夫だったはずなのに、バランスをとるものを失えてしまっているのかもしれません。いや、バランスを外に機械やシステム、サービスに渡してしまったんですね。だからこそ、その便利な機械やサービスから離れて、「この身一つ」になった時に、不安が生まれてしまっているだと思います。
 
次回、また、ここからもっと掘り下げていきましょう。

【反射神経】その10 新たな問い。

その1 もう一人の自分がいた

その2 わからなくても、大丈夫!

その3 指先がかってに動いた

その4 もう一人の自分との出会い

その5 「自由な自分」と「困っている自分」

その6 分離と統合、親子関係について

その7 自由な手があれば、自由な足もある

その8 地球を親と考えてみる

その9 武術は自分を確かめられるからいい

ただ、体を浮かすこの感覚は手や足の時ほど具体的ではないためになかなか試してもらうのに苦労しました。

それでも技はしっかりとかかっていきますから、頭でわかっていようがいまいが、それとは関係なく、浮きの感覚は確かに相手の体に伝わっているはずです。

それでも私たちは頭で理解したいですよね。頭でわからないことをそのまま受け容れられればいいなぁ、と思いつつもどうしても、なぜできないんだろう、どうしたらできるんだろうと考えてしまいます。

反射神経から分離と統合の関係に気が付き、そこから思いがけず浮きへと繋がってきました。これまで自分はまだ、浮けていない、そう信じてきましたからどうしたら浮けるようになるかは説明することができなかったのです。それが実感を得たことによってこの感覚を別の言葉で、違った説明でできないかと探し始めました。

ここでもまだ問いが生まれています、自分の中にどうしてもしたい、どうしたらいんだろうという問いは答えを持ってきてくれるのです。今日は反射神経を通して、もう一人の自分を内側に見つける事がテーマでした。これから先はもう少し、具体的な動き方の説明になりますので、それは次の機会でお話をしたいと思います。

【反射神経】その9 武術は自分を確かめられるからいい

その1 もう一人の自分がいた

その2 わからなくても、大丈夫!

その3 指先がかってに動いた

その4 もう一人の自分との出会い

その5 「自由な自分」と「困っている自分」

その6 分離と統合、親子関係について

その7 自由な手があれば、自由な足もある

その8 地球を親と考えてみる

武術の中では「浮き」という感覚が重要になりますが、地球、地面、重力を意識し始めて、その浮きをこれまでで、一番はっきり感じたのです。

楽しいときは自分の体の重さを感じる事はありません。ウキウキする、と言いますよね。そういう経験は皆さんにもあるかと思います。しかしそれは「楽しいこと」があってこそ現れる浮きです。武術の状況は目の前に自分を襲ってくる敵を想定しています。楽しい事とは間逆な状態です。ウキウキするどころかズブズブと足を取られてしまいます。

そんな状況でも浮く事ができそうだ、そう感じたのです。

自分が浮けているのか、浮けていないのかは、稽古すればすぐに分かります。これが鈍感な自分でも道を外さず、成長し続けられた秘密です。相手と衝突し力がぶつかった瞬間、浮いていることができると、滑らかに相手を崩して行くことができますからね。自分が一番よくわかるはずです。

地球の力を借りる、そう言葉にするともの凄く恥ずかしくなりますが、それでも今私たちは地球の上にいるということは紛れも無い事実です。恥ずかしさに負けるというのも地球にひっぱられている証拠なのかもしれませんね(笑)

【反射神経】その8 地球を親と考えてみる

その1 もう一人の自分がいた

その2 わからなくても、大丈夫!

その3 指先がかってに動いた

その4 もう一人の自分との出会い

その5 「自由な自分」と「困っている自分」

その6 分離と統合、親子関係について

その7 自由な手があれば、自由な足もある

手、足と考えてきました。では、この体はどうだろうか?体全体を自由にすることはできないんだろうか?そんな問いを持ったのです。

人間の脳は質問をすると答えてくれるようになっているそうです。そしてその質問は自分の中から出たものでなくてはいけません。他の人に与えてもらった質問にはわからないという答えを出してしまうからです。

私は今、どうしたらこの体全体を自由にすることができるだろうか、という問いを持ちました。手や足で考えた時のように、自由な体を手に入れるためには、それを陰から守ってもらうためには、動かないものが必要です。しかし、この体の周りには何があるんでしょうか?何もありませんよね。末端が手足の指先ですから。

諦めかけたその瞬間、あっと、ひらめきました。

この体の下には地面がある!

雰囲気を出して地球と言ってもいいかもしれません(笑)。私たちは地球の上に乗っているんです、そして、地球から引かれていることも知っていますよね、重力です。

きっかけになるひらめきがあればそこから考えはどんどん広がっていきます。手や足で試した時と同じように、この体を自由(子)と考えてみるのです。そしてその自由を助けてくれているのは足の下にある地球(親)です。そう考えていると、体がふっと軽くなるの感じました。

【反射神経】その7 自由な手があれば、自由な足もある

その1 もう一人の自分がいた

その2 わからなくても、大丈夫!

その3 指先がかってに動いた

その4 もう一人の自分との出会い

その5 「自由な自分」と「困っている自分」

その6 分離と統合、親子関係について

手首を境に手が自由になるとすれば、同じように足首を境にこの足が自由に動くかもしれない、そう考える事は不思議ではありません。

そして、試してみると意外と簡単にその自由な足を感じることができると思います。

考えてみると自分が好きな所へ向かう時はほとんど疲れません。逆に望まない所へ向かう時はもの凄く近くであったとしても、どっと疲れが出てきます。もしかしたら、ただ、一歩横へ逃げれば良いようなときにも、恐怖に縛られてしまうと、一歩も動くことができません。しかし、これも手の時と全く同じです。怖くて動けないような時でも、足首から先はプラプラプラッと、動かすことが出来るはずです。まずは、動く事ができる足(子)を認めてあげる必要があります。

手と足はほぼ同じような構造で関係がつくられることがわかりました。この2つの気づきで武術の技も介護の技も大きく変わってきました。それでも好奇心は止まりません、それどころかどんどんどんどん大きなことを考えるようになってきます。