なにかをしよう、と考えたとき、つい、使いやすいカラダのパーツがある。頭では身体全体で、と考えてみても、なかなか全体を使いこなす事って難しいです。いや、俺はできるぞ!っていう人もいます。でも、武術はそれをちゃんと、出来ているのか、口だけなのかを明確に教えてくれます。口先が通用しなくなるのが武術です(笑)。
丹田風なものに気づいてから、そこに力が集まると、姿勢がしっかりする事がわかりました。それまでは、強い力に対抗しようとすると、肩や足先に力がたまってしまいましたから。
当たり前ですが、肩や足は二つあります。二つあるという事は、その二つのバランスをとらなくてはいけない、という事です。これが難しい、私には出来ませんでした。だからこそ、大きな力に姿勢を崩されてしまっていたのです。
でも、お腹は一つです。そこに「ためる」事さえ気をつけていれば、自然とバランスは整います。後はそこに、どう導くかだけです。
手を握られ、押されたとき、肘を通って、肩に行き、そこから首に入って背骨を下りて、腰をなんとか乗り越えると踵にまで力が下りていきます。膝を締めるようにすると、手から入った「相手の力」が自分の身体を通って、丹田風なところへと入ってきます。
大雨と一緒です。
ためるところがはっきりしているからこそ、そこへと導く道が見えてきます。道が見えれば、後はそれをするだけ。つまり、迷わなくてもいいんです。
私達人間にとって「迷う」というのは大変な事です。覚悟が決まれば大抵の事はうまく行く、という人もいます。身体をとおして、「迷い」を感じられるって楽しかったです。