【思考実験】コンプレックスはマボロシ

講座の中で自己紹介代わりにいつも言っていることがあります。それは自分が子供の頃からコンプレックスをいくつも持っていた、という事です。しかも、そのコンプレックスと向き合うのもダメで、考えないように、見ないように、避けてきたんです。そのコンプレックスとは、勉強、運動、芸術、人付き合い、とにかく「出来た」と思える事が無かったので、結果的に、どこにも自信を持つことが出来なかったわけです。
 
もちろん、周りは人間はかけがえの無い素晴らしい存在、誰の中にもたくさんの可能性があるんだ、と言います。
でも、学校生活の中であるのは人と比べるものばかりです。そんな状況で自信を持てと、言われても、うまくいきません。むしろ、自分には可能性があるんだ、と思おうとすればするほど、辛さが増していきました。
 
そんな中、甲野先生と出会い、身体を通して自分に向き合う事を学びました。それまでは頭ばかりで考えていたんですね。身体を見れば心を感じられるようになります。一つのものですから当たり前ですが・・・。そのおかげで、数々のコンプレックスはだんだんと影を潜めていきました。
 
実は、なにかが出来るようになった、わけではありません。もちろん、身体は動くようになりました。人からはすごい、と言われる事もあります。毎日、毎日、成長している、って実感もあります。しかし、だからと言って、勉強が出来るとか、仕事で失敗しなくなったとかではありません。今でも多くの事は出来ないままです。それでいて、コンプレックスが消えているわけですから、これはものすごい変化だと思います。うまくいかなかった時に凹んでしまうだけではなく、次に気持ちを向かわす事が出来るようになったかな、と思います。
 
なにかが出来る、出来ない、とはほとんどの場合、誰かとの比較、外部との比較です。どんなに上手にやろうとも、上には上がいます。どうも、自信とは外の世界とは全く関係が無かったようなのです。今、自分が「出来ない」事も変化する事ができる部分として楽しく向き合う事ができるようになりました。もちろん、実際に向き合っている最中は怖いです。でも、時間が見方をしてくれるのか、必ず、変化を見せてくれるんです。その時、不安に思う事は、自分の中の一番興味のある部分です。その興味に対して身体で向き合ってみると、知らず知らずのうちに、乗り越えていってしまうものだと感じるようになりました。
 
「出来ないまま、自信を持つことが出来る方法」というのは、私がそうであったように、コンプレックスをもってしまい、どうしても自分に自信が持つことが出来ない人にとって、新しい解決法になるかもしれません。自分の中に自分だけの物差しを作る作業なんだと思います。
  
自分が出来なかった分だけ、伝えられる事もあるはずです。個人指導の時間も作るようにしましたが、技の稽古であれば普通の稽古で十分です。むしろ、みんなとワイワイやった方がいいと思います。でも、自信が持てない時に、楽しくなんてやれない、どうしたらいいかわからない、そう思う人は個人指導をお試し下さい。一緒に、自信ってなんだろう?って考えますからね、軽く考える身体の動かし方を教えます。

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