動画の中の動きをもう少し、詳しく解説しておきます。
今回のテーマは「太もも」です。
もともと「上腕の自由」から脚にもあるんじゃないか・・・と考え、工夫しました。
案の定、私達は今、膝下で地面を蹴るように使ってしまっていたのです。
膝下の動きを抑え、太ももから動いていくように意識をしてみると、ここにも「自由」がありました。
つまり、抵抗しようと相手は頑張って押さえにかかってきても、その抵抗を太ももを意識して見ると、気にすることなく、自分の思ったように、動き続ける事がわかったんです。
ただ、今回は分かりやすくするために「跳躍」をベースに動画を作りましたので、なんで跳んでるの?と疑問に思われた方もいるみたいです。慣れてくれば、見た目跳んでいなくても、地面から身体がふわりと浮かび上がり、相手は支える場所をなくして、バランスを崩してしまいます。そこへの第一歩の映像と考えてください。
では、順を追って、解説していきましょう。
開始~20秒
特徴的な動きを集めました。
・しっかりと抑えられた腕を下へと崩す浪の下。
・タオルを膝に挟んでの太もも歩き。
・太ももを使っての跳躍。膝が動かない点に注目。
・大また歩行。普通よりも少し大またで歩いてみると、膝下ではなく、太ももが意識しやすいです。
・再び浪の下。これできているか出来ていないかが本当に良く分かる技なんです。
31秒~61秒
普通の跳躍と太もも跳躍の比較
比べてみると、跳躍高さは変わっていないみたいです。まぁ、多少は違うでしょうけど。
垂直とびの選手であれば、意味がない!!と言い出すでしょうが、問題はそこではありません。自分がどれだけ「楽」かどうかです。
たった10cmでも、楽に跳べば、その空中にいる間、身体を自由に動かす事が出来ます。
しかし、普通に跳躍をすると、特に上半身に力が入ってしまいなにも出来なくなります。
どうやら、膝下と前腕部分は連動しているようで、跳躍のために膝下を使うことが、前腕部に力みを生んでしまっているようです。
動画ではちょっと細かいところまでは表現できていませんね。
太ももでの跳躍では脚を抱えていますが、自然と上へと上がってきているんです。46秒あたりで動画を止めてみると、なかなか面白い絵になります。高く跳んでいる様に「見える」んですね。到達点は変わらないのに高く見える、というのはリラックスが上半身に生きているからだと思います。
1分~1分26秒
浪の下(下へと相手を崩す技)での比較です。
最初の方が太ももでの技ですね。
相手が掴んでいる部分を意識してご覧下さい。
身体は上へと跳んでいるのに、相手はその動きに対応できずに、そのままです。
そして、頂点で身体が一つになったところで落下していきます。
ちょうどいきなり、80キロの物体が腕にのしかかってきた状態です。
腕の力で崩してやろう!なんて気持ちはこれっぽっちもありません。
それに対して、二つ目の失敗例は膝下で跳んでいますから、その力みが前腕にも出てしまい、相手に対応されてしまいます。
すると、相手からの抵抗力が自分の肩へと逆流してきてしまい、ひっかかる、という構造になっています。
1分32秒~42秒
説明がないので分かりにくいと思いますが、膝下をつかまれた時と太ももにしがみつかれた時に身体がどう動くかを伝えたくて入れました。
相手は同じように力いっぱい、こちらの動きを止めにかかっています。いわゆる、脚を引っ張る状況です。
膝下を押さえられたときは、脚を引っ張られた事に対して、「困る」のですが、太ももにしがみつかれた時は重さはあるものの、仕方ないなぁ・・・とそれを受け入れて自然に歩いていけるのです。つまり、困らない。
ここに「自由」さを感じました。
どんなに相手がこちらを困らせようとしても、こちらが太ももでその動きを受け止めると、自由に、それまでと同じように、動く事ができるのです。
こう考えてみるとどうでしょうか?
すねをかじられるとつらいんです。でも、太ももを感じられると、仕方ないなぁ、と面倒を見たくなってきます。しがみついて、かじりついてきている奴も一緒に、連れて行きたくなるんです。
考えてみると、小さな子供はすねをかじるとはいいません。
もう、自立ができるのに・・・と思える子供に対してすねをかじる、という言葉を使いますよね。
もし、どんなに大きくなっても、こちらが太もも、身体全体で受け止める事ができたら、全然、気にせず、暮らせるかもしれません(笑)。
1分42秒~最後
技を紹介しています。
・座っている人を片手で引き上げる、跳ね釣り。太ももで跳んだ後は身体が一つにまとまっているので、その重さを利用してひきつけています。
・直入り身
引き付ける跳ね釣りに対して、前へと歩いていく技です。ただ、歩くだけなのに、相手は大きなものに衝突したかのように崩れていきます。実際、衝撃は凄いんですけど。
・そしてまた浪の下。
大切なのは身体が一つにまとまる事です。
まとまってさえいれば跳躍はいりません。つまり、跳躍は身体をまとめるための「お作法」であり、変身するためお決まり動作のようなものです。
自分がまとまっているのか、そうでないのか・・・まずその違いに気づくところからはじめてください。
以上です。