巻き上げ、という言葉があります。
最近の宇宙の話を読むと、たくさん出てくる考え方です。
例えば、こんな感じです。
大きく広がっている一枚の紙をクルクルクルと「巻き上げ」ると、一本の棒になります。
それを遠くから見れば、平面ではなく、線に見えるというわけですね。
大きな視点で見れば、線です。
当然、動ける範囲は一つしかありません。
しかし、自分の視点が小さく(例えば、電線を歩くアリのように・・・)なれば、そこには平面の世界が広がっていて、移動ができます。
同じものでも、視点の違いによって、違ってくるのです。
これを武術を通して身体で感じてみたいと思います。
まっすぐ手を出す、という状況を考えてみてください。
相手はそれを抑えます。
まっすぐ前へと出すのですから、相手もまっすぐ抑えればいいわけです。
当然、この状況であれば、力の大小だけが問題になります。
この時、相手もこちらも、「手」というものを見ています。
だから、衝突です。
同じレベルの視点なんですね。
次に、肘に意識を集中します。
肘は折りたたむ動きと、スイングする動きを持っています。
スイングの動きはわずかですが、それと手を前へと出す動きを組み合わすと「螺旋」の動きが生まれます。
肘をスイング、と言っても、それは手を見ている人からは気づかれない動きになります。
小さく、横に動きが生まれるんです。
スイングの動きは大きくありません。すぐに、動きは止まります。
ゆっくり、動かし続ける、という事を意識しておくと、さらに、相手からはなにをしているのか分からなくなります。
この時、肘は電線の上にいるアリのようなものです。
小さな動きを作り出す事が出来ます。
まっすぐに・・・と言った時に、そこにはどんなレベルで、という事が隠れています。
そのギャップが相手を崩す技になり、丁寧に動く、という事を表現するようです。