【稽古日誌】好きになるということ

先週の金曜日、車の中で突然、喉のあたりに動きを感じたんです。
なんというか、声がだしやすい。
普段、カラオケはしませんが、その大きな理由の一つは下手だから(笑)。
学生の頃にはそれなりに行き、楽しかったんですけどね。いつの間にか、歌わなくなっていまいました。
 
 
 
実は声を出すってのは武術の中でもとっても大切。ただ、声の方をメインにしている人って少ないです。
もちろん、気合いは大切です。
「エイッ」っと気合いをかければ相手の戦意もなくすことが出来ますし。
 
恥ずかしながら、私の気合いって大したことありません。
もちろん、知らない人からすれば、違って見えるでしょうけど、なんとなく、付け焼き刃感覚に何とかならないのか、とずっと思っていました。
 
 
 
それが、アーと声を出したとき、喉が広がって、身体の中の空気が外へと出されていくのを感じます。
 
新しい使い方が見つかれば、後はそれまでのものと比べてみると、違いがどんどん見つかっていきます。違いが「分かれば」どんな時にもそれを意識すれば、そこから落ちていく事ってないですからね。
 
武術の稽古「声を出す」って事を考えてみたくなりました。
 
  
 
今のところ、分かってきたのは、体幹の動きから拳の動きに変わってきたものと「同じ仕組み」がそこにあるらしい、って事です。
手さばきの動きで言えば、いかに体幹部が邪魔をせずに手の動きを自由にさせられるかがポイントでした。
その使い方を見つけたおかげで、太刀のさばきも考えられないほどの動きになってきました。
 
手に任せるって動きの前に、肘を使う、って事があったんですが、覚えてますか?
肘を使うことで、仙骨をコントロールできるようになるんです。
仙骨、背骨をいかに使うかって事を考えていた最後のコツです。この直後から、今度は道具を使うことを考えるようになり、我をいかにとるか・・・と向かいましたからね。
 
 
 
どうも、喉を開くというのは、この肘にあたる部分ではないかと思います。
自分が出したい音が喉で詰まっていたんです。
動きたくても、恐怖で肘が固まって動きたくても動けない感じに近いのかな。
とにかく、喉が開いたり閉じたりすることがわかるってのは、喉が動くのがわかる、って事です。
もともと、喉は動くんです。
でも、動かせない。そんな生活が長くなれば、だんだんと自分の喉は自分の意志で動くはずがない、なんて思っちゃうんだとおもうんです。
でも、ちゃんと見て上げれば、動くんですよね。
こうして、少しずつでも我を手放していければなぁ、なんて。
 
 
 
この喉が開くようになって、言葉が速くなったんです。
今、伝えたい音がちゃんと発せられるんです。
これまでの声は、喉で詰まっていた、ブレーキがかかっていたんですね。
こういうところも、身体操作と同じです。
手を動かしたい、って思った瞬間、肩や背中に力が入ってしまうのが現代人です。
その遅れをそのままにしてトレーニングをしても無駄なんですよね。
 
ただ、筋力を鍛えるのではなく、ちゃんと、自分の身体が動くって事がわかれば、今のままの身体で相手の中に入っていくことができるんです。
動かないモノを動かそうとするのではなく、動くんだ、って知ることがなにより大切なんです。この感覚が声と触覚とが同じなんです。
面白いですよね、私たちの身体って。
 
 
 
不思議なのは、声が自分の思った瞬間に出ることが分かるようになって、声を出すのが楽しくなったんです。
そういえば、むかし、子供の頃、動くのが嫌いでした。運動、スポーツが苦手だったんです。
 
でも、今は動くのがだんだんと好きになってきました。
昨日も、ひとつ新しい動きを見つけて、それにあわせてひとり暴れていましたが、凍える寒さも忘れて、汗だくになりました(笑)。
 
声が出ることがわかって、声を出すことが楽しくなりました。
今使っているiPhoneにはカラオケアプリが入っています。あれだけ嫌いだったカラオケなのに、一人カラオケ、絶叫して遊んでいます(笑)。 
 
 
 
甲野先生は指導者は興味を引き出すだけでいい、って言われました。
確かに、甲野先生は教えない先生です(笑)。
丁寧にご自身の感覚を言葉にして、手を合わせてくれるんですけど、全くなにを言ってるかわかんないもん(笑)。
その理由はその感覚の世界をまだ、身体で確かめていないから。
 
長年の義務教育の影響でアタマで聞く、考える事が中心になってしまうからです。
でも、しつこく、あきらめずに自分の身体とむきあっていたら、いつのまにか自分の身体が動くことがわかり、興味が出てきました。
 
興味が出てくれば、自然と上達するのかな。
好きこそモノの上手なれ、っていいますけど、好きになるってこういうことか、って分かった感じです。
 
 
 
そういえば、最近、筆をつかうのも楽しくなってきました。
あれだけ苦手意識を持っていた自分の字がだんだん好きになってきたんです。
さっき、ちょっと時間があったので、100均で買った(こんなものまで!)写経をやってました。
なんの効果があるのかわかりませんが、武術の研究、身体の研究のためにです(笑)。
自分の身体が自分なんだ、って思えるって幸せでです。
そんな楽しさをこれからも伝えていきますね。
 
ありがとうございました。 

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