【稽古日誌】太刀「獲り」

これまで、父は少林寺拳法名古屋緑道院、私は愛知大府道院を道院長として引っ張ってきた。その元気だった父が急に亡くなったことで、名古屋緑道院も私が引き継ぐ事になりました。
 
 
 
当然、いつかは…と考えてはいましたが、まだまだ、先だと思ってましたし、古武術の方もどうすればもっと、身体が生きることの意味を感じさせてくれるもの、だと伝えられるか模索していましたので、本当に予想外です。
 
 
 
名古屋緑道院の指導を引継ぎ三週間、ついつい入ってしまう気合い、いや、気負いかな、そんな力みに家に帰ってくると、バタッと倒れてしまいます(笑)。
 
子供たち、仲間たちを相手に少林寺拳法を修行するのは、もちろん、楽しいこと。身体を動かし、稽古をしていれば、自然と、元気にもなりますし。ただ、まだまだ、無意識に力みがあるんでしょうね。こうしたブログや新しいウェブサイトの方になかなか、時間がさけませんm(_ _)m。
 
 
 
それでもなぜか、技の研究、身体感覚の新発見は止まらないんです。いや、むしろ、加速している気が。会う人会う人に不思議がられるのは、全然落ち込んでいない様子だからでしょう。親不孝何ですかねぇ(笑)
でも、本当にこの武の道に導いてくれたのは父と母のおかげですから。悲しみ、寂しさよりも、感謝の気持ちの方がいっぱいなんです。
 
 
 
改めて、ここ数日の発見を書かせてください。自分で言うのもなんですが、ものすごいんです(笑)
昨年稽古納めで偶然気づいた肌の感覚。そこから、浮きの大切さ、重力に縛られている事に気づき、工夫を重ねてきました。
 
そこで見つけたのが、形の力です。
ついつい、力というと、体の中からでてくるものだと考え、それを鍛え、出していくことに頑張ってしまいます。きっと、それは、筋肉の力。わかりやすいですもんね。
 
でも、その筋肉の力はいずれなくなる力ですし、そもそも、出し続ける事のできない力です。
しかし、現実に相手を崩すとなると、その筋肉の力を使わずして崩す事はできませんから、みんな、仕方なく、それを鍛え、求める事を止められないんです。
 
 
 
それがどうも、肌の感覚が高まってくることで、私たちの体には、もう一つ、形の力があることに気づいたんです。
もちろん、気づいた、というのは、崩すのにも使える、という事ですよ。頭でだけではありませんので。
しっかりと抑えられ、つい、力を必要と考えてしまう時にも、選択肢として、形から力を取り出す事ができるようになりました。
 
 
 
具体的に技になったのは先々週の金曜日。突然、相手の抱えている剣をヒョイと取り上げる事が出来たんです。
それまでは相手の武器を取り上げるだなんて、考えたことがなかったんです。だって、しっかりと、警戒をしている相手から武器を取り上げる事なんてできない、と思っていましたもん。
 
 
 
もちろん、当て身などを使って取り上げる、という選択肢はあります。しかし、それを技として身につけるには相当の訓練が必要です。
でも、その技のために時間を費やしてようやく身につく、ってのは、古武術的上達とは違う、と考えていますから。
 
私の考える、古武術的上達は体の中にそれを簡単に行えるなにかを見つける事だと思っています。
出来ない、とは出来ないと思っているからなんです。むしろ、出来るときには出来ないことの方を考えられなくなるから、出来てしまうのです。
 
 
 
今回、まさに、それを実感する事が出来たんです。
というのは、剣を取り上げるだなんて、出来るわけないと思い、全く期待もしていなかったんですよね。それが、たった一つの気づきで、ヒョイと取り上げる事ができるようになってしまうだなんて…、マンガみたいです(笑)
 
 
この歳になって、こんな刺激を味わえるんですよ。なんか、本当に不思議です。
 
 
 
具体的に言葉にしておきますね。また、動画なんかは改めて。
まず、ポイントは相手の持つ剣を動かす方向です。先に筋肉の力ではなく、形の力だ、と言いました。この時に刀を動かす力は筋肉ではなく、刀そのものが持っている力のような気がします。
 
 
相手の剣を掴めば当然、相手はそれに抵抗し、もみ合い、全力で綱引きが始まります。この時、筋肉の力が出やすい方向があるんです。それは、相手と剣を取り合ったとき、前後の方向なんです。ついつい、その前後の方向で刀を取り合ってしまうんですね。
 
しかも、私たちの感覚って、結果敏感じゃないですか?
前後に動かさないように、といしきをしても、つい、動いてしまうんです。そのわずかに動いた瞬間を相手も見逃しません。しっかりと、抵抗され、もみ合ってしまうのです。
 
 
 
ですから、形の力に気づかなくてはいけないのです。筋肉の力はもう、捨ててしまってください。
剣をつかみ、取り合いをするのをまず、やめます。
指先に意識をして、剣の表面を切っ先の方向へと引きずります。この時、指先だけが滑るように動くのではなく、指先に摩擦を感じながら、抑え込まないように、表面を引きずります。
 
すると、形を持つ刀ですから、その引きずられた瞬間、刀の柄の裏側の表面も動くんです。その動きを加速させるように、もう一方の手の指先で押し出して見るんです。
 
すると、その両手の動きのおかげで、剣の中心に軸が出来、回転が始まるんです。このいきなり動く横方向への回転により、相手は剣をつかみ続けることが難しくなるんです。
 
 
 
多少粘り強くても、回転重ねたり、体も加速に協力出来るようになると、まさに、ヒョイという言葉が似合うような技になるんです。
 
これを中学生、小学生、そして、保育園の子にも伝え、試してもらうと、気持ちよく刀を取られて、それも、楽しいんです。
大の大人が何十年もかけて出来ないのは、不可能な技でも、才能を必要とする技でもなく、ただ、原理に気づいていないだけなんですよね。
 
 
 
また、ゆっくりと書きたいと思います。よろしくお願いします。

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