１１月の大人の武道塾

１１月８日に甲野先生との稽古がありました。

甲野先生との稽古はいつも、それまでの自分を「壊してくれるもの」になります。

今回も、自分の持っている技、頼りにしている術理を見事に壊して頂きました（笑）。

この一月の間、自分なりに稽古を重ねて、これまでで一番「動ける自分」を表現してきました。

その動きはたくさんのひとと手を合わせる中でいろんな言葉で評価を受け、進んできた道が間違いでないことを確かめさせてくれました。

甲野先生と稽古をする前には、今の自分の動きがどれだけ通用するのかがなにより楽しみなんです。

今回、先生にぶつかる際、頼りにしたのは下記の術理。生まれてきた順に箇条書きにしてみます。

• 背骨に力を入れない「しょんぼり」
• 相手とぶつからない「すれ違い」
• すべてを受け入れる「母性の発揮」
• 全ての問題を間合いと考える「腸骨歩き」

他にも気付いた事はありましたが、「同時に」意識できるものとしてはこれぐらいです。

もちろん、これらが、無意識的に発揮できるほど、身について来ればまた違った結果も出てくるかもしれません。

しかし、常に、今やれることをやる、それを信念に稽古をしていますから、これでいいんです（笑）。

これらの武器をフル装備して甲野先生に立ち向かいました。

実は、これらの術理が効果を発揮して、最初の数時間はよかったんです。

普通、弟子は師匠を全力で抑える事はしません（笑）。どこかでいろんな遠慮が入るものです。

しかし、甲野先生に対してはいつも、全力が「普通」です。

はたから見れば、きっと、なんて失礼なやつなんだ、と映るかもしれません。

最後の最後、ホテルに甲野先生を送り、最後の挨拶を交わした際、少し先生の中で気付きがあり、その動きを受けたところ、それまでなんとかなっていた状況が一変、柔らかいケーキにナイフを入れていくかのように先生の動きを止められなくなりました。

こういう「経験」こそ、「宝物」なんです。

どんなに丁寧に説明された言葉も、それを理解するのは、その人自身の経験から得てきた感覚です。

まだ、自分の出会っていない感覚の技は言葉では理解できないものです。

甲野先生との稽古は負ける事で感覚を経験させてもらっているように思えます。

事実、その後、私の頭は先生から受けた動きの感覚でいっぱいになり、常に、その動きを基準に稽古をする事になりました。

どんなに、他人に技が効こうが、面白くないんです（笑）。

というわけで、１１月今後の大人の武道塾のテーマはその動きの検討に入ります。

一応、手掛かりも見つかってきています。これも箇条書きにします。

• 歩きを「腸骨」から「足そのもの」へ
• 槍の素突きから「重力」の使い方を学ぶ
• 肩関節、股関節、指の第三関節は回るのが得意な関節、それと「重力」を組み合わせて動く

今のところ、これらを手掛かりにより、有効な技、動きを求めていきます。

もちろん、すれ違いや歩きなど、なんでも聞いていただいて構いません。

また、大きくなにかみつかりましたらご報告します。

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