なにかをしようと思った時に必要だと考える力の大きさがあります。
例えばそれがなにかの技量や努力の量やお金であったり・・・とにかく完成形を目指した時に無意識にどれだけの力が必要になるのか、私達は考えてしまうらしい。
相手をこちらへ引き込もうとするとき、どれだけの力を出せば引けるのか?
それを考えて引いて見ると、間違いなく、相手との力のぶつかりあいが起こります。その状況に慣れていれば、ぶつかる事も計算に入れて、必要な力を考えるわけですが、果たして、これが本当に必要な力なのでしょうか?
もっと、軽く、力なく、相手を引き込む事ができる、という「経験」があれば、今の自分の考えはおかしい、と分析もできるかもしれません。でも、自分に経験がなければ・・・言葉でもっと軽くできるはず、と残されていても信じる事ができません。だって、目の前には実際に動かない人がいるんですから。
押してだめなら、引いてみな。という言葉があります。でも、それを行ったとき、結果がそのまま出せるとは限りません。たいてい、失敗から入ります。失敗を続けてもなお、続ける事ができるのでしょうか?
そこで、武術です。
武術は「技をかけられる」所から始まります。
つまり、自分よりも腕の良い人に、「軽く」引き崩される、事を経験させてもらえるのです。実際に、同じ状況を引かれる立場で経験ができるのですから、信じられる力はぐっと高まるはずです。
相手を引き込む技の場合、普通に引けば、相手との綱引きになります。
なにかをしようとするのではなく、共同作業かもしれない、と先週気づき、ブログでも少し書きましたが、相手を崩す事を目的とするのではなく、相手が動きやすいように、身体のバランスをとるように、サポートしてみる事を目的に変えました。
バランスをとり、身体が浮いてくると、相手は「引かれたくない」のですから「引き返して」来ます。その「引き返す」動きが強調されるのです。
思いのほか、自分の動きが後ろへ進んだとき、逆に前へと行きたくなるから不思議です。ここでもバランスをとるんでしょうね。その前へと行きたい動きをもらうと、結果的に、本来自分が求めていた、相手を引き込む動きになります。相手も前へ行きたいし、こちらも来て欲しい。両方とも幸せです。そんな事を技を通して確かめてきました。