【身体感覚の足跡】世界が違ってみる外側という見方

目の前にコップがあるとします。
そのコップを見ているとき、自分の意識は「コップ」に目が行きます。
 
同じように、目の前に「相手」がいるとします。その相手が自分の行く道を邪魔をしています。そのまま真っ直ぐに進むと当然、ぶつかります。相手と自分との間に「圧力」が生まれてくるんです。
 
相手と「物理的に」衝突したとき、そこに圧力が生まれるのは当たり前に思うかもしれません。でも、人間は物理的な存在だけではなく、精神的な存在でもあります。なんだか「あっち」の世界の話に聞こえるかもしれませんが、間違いなく、身体的なお話ですから安心してください。
 
実は目の前の空間は「相手の身体そのもの部分」と「相手の身体ではない部分」に分かれます。
相手の身体そのもの部分というのは、文字通り、相手の事です。
相手の身体ではない部分というのは、切絵のように、相手の部分を切り出した背景です。
言葉にするとこんな感じですが、実は自分が「なにを」見ているかというのは、相手と共有している事に気づいたんです。
 
自分が相手の身体を意識して衝突すると、相手もその意識にあわせてちょうど良いタイミングで抵抗してきます。だからこそ、止まるのです。
でも、自分が相手の背景、外側を意識してぶつかると、相手は物理的に衝突した瞬間も、あれっとなり、うまくぶつかれないのです。
 
武術的に見ると、ものすごく、不思議です。
でも、生活の中ではこういう事ばかりかもしれないなぁ、と思いました。
お互いの価値観って違います。同じ事を体験しても、良かったと思う事もあれば、残念と思う事もあります。また、自分の中でも時ともに、考える事は変わってきます。目の前のこと、と言いつつ、それは背景の方を気にしているんでしょう。
 
でも、時として、つい、目の前の事にいついてしまう事があります。特に、嫌なものに出会ったときには反射的にです。そういう事をすることがあるよ、と武術は教えてくれました。冷静であればわかるんです。でも、嫌なときって感情的になってますから、頭はあんまり働きません。一度でも、自分が見ているものに「外側」がある、というのを経験すると、面白いと思うんだけどなぁ・・・。文字通り、世界が違って見えます。

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