【稽古日誌】自分の中にいる3世代

今日は豊田の中日文化センターで講座。
この講座も女性の方ばかり。ただ、今日は話の通る男性の方が見学で参加。
まぁ、私の講座って見学も体験も似たようなもの。
豊田の講座は見学、体験もそのままできるので、お近くの方はぜひ。
 
 
 
今日の講座はひと月前の「道具の原理」から「ハサミの原理」への展開を解説。
みんなでビリビリ新聞紙を破って左右の手の連動を確かめてもらいました。
ハサミの原理もずいぶんとたくさん説明をさせてもらったので、解説もスムーズ。
 
・・・でも、ちょっと、そのスムーズさが気に入らない(笑)。
というのは、話が楽に行くのは頭の中に伝えたい事が形になってきているから。
なるべく、イメージを限定していかないようにしたいのに、ついつい、形にしてしまうみたい。
 
形ってのは今の私の思い込みだから、本当は形にならないものの方がいいんです。
形にならないものを受け止めると、脳が混乱するんです。きっと。たぶんです(笑)。
脳が混乱すれば、そこに問いが生まれます。
問いが生まれれば、答えがやってきます。
答えのない問題に自分の中から答えがでてくる、っていう楽しさが伝えたいんです。
 
 
 
というわけで「ハサミの原理」はさっさと済ませて、次の術理へ。
名前はどうしようかなぁ・・・。
手のひらの中にぎゅっと閉じ込められた「一点」があるんです。
その一点に意識が入り込めると、外からの刺激が気にならなくなるんです。
まるで、手の一点に引きこもっているみたい。
引きこもりって問題になってるけど、引きこもっている側は自分の時間も空間もあり、快適かもしれません。ただ、周りに理解されない事がつらい事かも。
 
 
 
外とのコミュニケーションを考えなければ、こんなに安全な場所はありません。
武術的に考えると、外とのコミュニケーションって相手の力との反応です。
相手からの力につい、反応してしまうというのを止めるのって簡単じゃないんですよね。
そもそも、相手がいる、って事を大前提にして、なにかしよう、って考えちゃうから。
 
もちろん、相手が自分にとって、味方、仲間であれば、一緒に力をあわせていく、というのはとっても大切だし、必要な事。でも、それ以前に自分が自分らしく動けなければいけないと思ってる。
 
 
 
その「まず動く」、それも、自由に。それを学ばせてくれるのが、「手のひらの一点」。
力がそこにギュッと集まるから、意識もそこへギュッと集まるんです。
 
固いコブシに守られて意識は外へと出て行かないのかな。
とにかく、手のひらの遊び、緊張をなくさないようにすると、自分の迷いや不安がなくなるのは確かみたいです。
 
その迷いのなさの結果が昨日の日誌にある、動画です。
迷いがすこしでもあると、体は居つきます。動きが止まっちゃうんです。
 
夜、少林寺拳法の練習ですこし、試してもらいました。普通の高校生に。
そしたら、動くんですよね。ちゃんと、見事に!
こっちは動画を上げることはできませんけど、「誰にでも」出来る確信ができました。
 
 
 
そういえばこの「手のひらの一点」を作る術理ですけど、身体、体幹からみると「孫」にあたるように思うんです。
肘から先は道具、って話をしましたよね。
その道具は体幹から見ると「子」です。親子の関係がそこにあった、って話でした。
親が子を信頼する事で子の力が発揮されるんです。
 
子供の動きは左右の手が連動する事で、信じられないほどの速さを生みます。
しかも、左右の手が連動する事で、バランスが生まれ、気配が見えにくいです。
 
この速さと連動は「長所」だけで、動きがシステマチックだ、という「短所」もある事がわかってきました。
「井桁」という「構造」はメリットであり、デメリットなんです。
 
 
 
コブシの一点はふわりと浮いている自由な塊です。
前後左右、上下とどこにでも動ける塊です。
このコブシの一点が「孫」です。
孫は孫だけで存在するのではなく、親がいて、祖父母がいて初めて存在しています。
もちろん、この体幹が祖父母、たいていの場合、「自分」です。
自分がなにかをしようと頑張るのを辞めると、孫であるコブシが「自由」になります。
 
 
 
子離れ、親離れって難しいです。
そして、それ以上に難しいのは親から子へ、そして孫へのバトンタッチです。
自分の中に世代の違う自分がいるって想像つきますか?
子供がいた、ってだけでびっくりでした。
そしたら、さらに孫までいたりして(笑)。
 
私に孫はいませんが、私は孫です。
きっと、祖父母からみたら、孫の私がやっている事、考えている事ってちんぷんかんぷんなはず。
でも、そのちんぷんかんぷんさを叱らず、止めず、自由にさせてくれている事がうれしくなりました。
 
 
 
ぜひぜひ、自分の中にある、3つの自分に注目してみてください。

SNSでもご購読できます。