【稽古日誌】平気でいられるって強さ

今日は鳴海の中日文化センターで講座。
この講座には様々なエキスパートの方が来ていただいていて、講師としてそこに立つのに緊張感があります。
もちろん、自分が見つけてきたものには自分自身が驚き、効果は武術の技として確かめてきたものだから、自信を持って伝えられるもの。
ただ「普通の」考え方で言えば間違いのないように「ちゃんと」伝えなきゃって思っちゃう。
でも、この「ちゃんと」がくせ者(笑)。
この「ちゃんと」は今の自分の見方、レベルがそう見せさせたもの。私たちの身体はもっと、もっと、奥が深いはずなのだ。
 
 
 
今日お話をした拳の中の一点への集中は自分でもまだ、よくわからないもの。
少しずつ、使うのに慣れては来ているものの、なぜ、この動きで崩れるのかがよくわからない。
気配がなくなっているのは確か。
その気配の無さが相手の虚をつき、体勢をととのわせる余裕をなくしている。
 
でも、なぜ、気配がなくなるんだろう?
 
 
 
気配って不思議です。
速いから見えないわけじゃなくって、見た目には遅いのにも関わらず、見えないんです。
動きが。
 
 
 
こういう気配のない動きを長年しっかり、真剣に修行をしてきて、見た目にも立派な人が行うのであればまだ、受け入れられると思うんです。
ちょうど、甲野先生のような侍のような人が・・・。
 
 
 
でも、私はといえば、とにかく自分の動きに対して全然自信の無かった人間が。
そして、修行の仕方も全然、ストイックではないし。
食べるものも着るものも、生活の仕方もこの現代の中で生まれたものばかりを選択してきているのに・・・。
 
ふと、こうした現代の文明、文化の垢にまみれた自分でもこんな動きが出来るし、その感覚から得られる人間の奥深さを考えることができるってのに価値があるのかもしれない、なんて思います。
 
 
 
現代ってややこしいです。
いろんな選択が出来るから。
自然の中に暮らすことも出来れば、都会の中で暮らすこともできるし、ネットの世界だけで自分の時間を使うこともできる。
 
その自分がした選択を他の誰かが止めること、否定する事ってできません。
どちらにも言い分はあるからね。
 
 
 
そして、私はどんな生き方に対しても良い悪いってのがいえない人間。
その優柔不断な自分を嫌い生きてきたともいえるかも。
 
ただ、甲野先生に出会い、武術を通しての身体を見せてもらうことで、どんな生き方をしても、そこにある「身体」を喜ばせるっていう選択があることに気づかせてもらいました。
どんな生き方でもいいけど、外に何かを求めるだけだと、途中、つらいことも出てくるし、意見の違う人との出会いはまさに衝突を生み、争いになります。
 
 
 
武術はこの「争い」をどう受け取るかを求めてきているもの。
相手を嫌い、排除する事を目的にしない、というのが私が求めている武術。
 
このどうしようもない衝突が生まれてしまえば、もう、無かったことにはなりません。絶対に。
たとえ表面的に争いがなくなったとしても、心の奥にはずっと、潜み続けるようなやっかいなもの。
 
これを解決するのに必要なのは自分自身がどう、その衝突を認めるかだと思うの。
いくら頭でこれは「必要な争いだ」と考えても、身体は敏感に反応してしまいます。
自分にとって、必要、平気、自然なものと受け止めることができるかどうかを武術は経験として教えてくれます。
 
 
 
拳の中の一点を見つけ、入り込むことができると、身体が外からの刺激に対して反応しなくなります。
これは鈍感、ってのとはちょっと違うんですよね。
頭ではちゃんと自分を攻撃してくる相手の事がわかっているんです。
にも関わらず、自分の身体がその攻撃に対して過敏に反応しないんです。
 
 
なんだろう?
花粉症とかと同じ?
スギ花粉を気にしない人は花粉が飛んでいようといまいと気にしません。どちらでもいいんです。
でも、花粉症の人は、わずかな花粉でも身体が反応してしまいますよね。
 
これって、なんにでも同じ事がいえるのかな?
 
化学物質や電磁波にも敏感な人がいると聞きます。
人間関係にも繊細な人はちょっとした仕草、言葉で必要以上に身体が反応してしまうことがあります。
 
こういう時、武術的には外の刺激をなくさないんです。
花粉自体をなくさないって事。
電磁波や化学物質、苦手な人を排除しないって事。
行うのは自分がそこにいて、「平気、自然」と思えるように身体を変えるんです。
 
 
 
身体って変わらないと思っている人が多いし、むしろ、衰えていくとばかり思っているかもしれません。
でも、違いますからね!!
身体は感度を高めて、より、自分が自然と「ここ」にいられるように導いてくれるものです。
 
 
 
たまたま科学、医療の技術がすすんで、外にある原因を壊すだけの力を手に入れつつありますが、あくまでも、自分の身体の力を信じるんです。
どんなにがんばっても自信や台風を消す事って無理だもん。
 
 
 
あっ、そういえば、昨日、火星への移住計画がネットのニュースに出てたな(笑)。
これも技術革新、そとにあるいやなものから逃げていく、って事かもしれない。
すごいな、人は・・・。止まりませんね(笑)。
 
 
 
話がずれましたが、そっちじゃないんです(笑)。
技術側って大変なんです。
苦労もあるし、お金もかかるし。なにより、時間がかかる。
 
でも、自分の身体は地球が生まれて、そこに命が誕生してから何十億年もかけて進化をしてきたものすごいものだもん。
その身体を信じて、自分がここにいていい、って感覚を掴んでください!
 
 
 
今日も、ながながと、ありがとうございました。
 
そうそう、今、来年、1月に甲野先生に浜松、名古屋へ来ていただけないかと相談中です。
ちょうど、今日だったか甲野先生がNHKのラジオに出られるというし、来月には有名歌舞伎役者さんとの番組もあるとのことですから、お会いしたい!って人をつなぐ役目ができるかもしれません。
また、決まりましたら、お知らせします。
 
では!

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