【稽古日誌】周辺視野的学び方

日曜日、甲野先生を名古屋にお迎えし、講習会を開催しました。参加された方、ありがとうございました。この時代だからこそ、よけいに甲野先生をいう人間に直に触れ、感じてもらいたい、その思いで、講座を開かせてもらっています。楽しんでいただけましたか?
 
 
 
前回1月6日の浜松での講習会の際には合わせたい手を少し、我慢をして帰りました。今回は全てのスケジュールを終えた後、ホテルの一室で手を合わせていただきました。我慢していた分、カラダが感覚を求めてるんですね、改めてわかりました(笑)。
 
良く稽古をしている人はご存じだと思いますが、私が自分のカラダが変わり始めたのを自覚したのは、先生の話を直に聞かなくなってからです。
打ち間違いじゃないですよ。「聞かなくなってから」なんです。
 
 
先生をお迎えし、講座が始まります。いつも、たいてい2時です。
一言、みなさんにこれから始めます、と伝えた後は、一目散に受付へ(笑)。
そこで領収書など、すこし仕事もするんですが、その時に聞こえてくる甲野先生のお話、みなさんの反応、そして、その甲野先生の解説を聞いた人から又聞きで聞くことが、自分のレベルをぐっとあげてくれたんです。
 
昔はビデオをずっと回して、後で何度も見返していたんです。一生懸命でしょ(笑)
ただ、その割にはあまり変化がなくって・・・。
それが、今、受付に引きこもっていたら、どんどん自分のカラダが変わっていくようになったんです。
その理由がよく分からなかったんですが、この前の講習会の時、わかりました!なるほど、こんな理由で上達していたんだな、って。
 
 
 
周辺視野って聞いた事ありますか?
ソフトフォーカスともいいましたっけ?
じっと、相手を見ることなく、一枚の絵を見るようにみるんです。
武術的には非常に有効ですし、スポーツの世界でもいわれる人がいますよね。
流派によって名前は違いますが、遠山の目付、カニの目、八方目なんて言われたりしています。
 
 
 
ただ、実際、私たちの目はずっと、その場で止めておく事って簡単に出来ることではありません。むしろ、全体をみようと思っても、「つい」目がいってしまうのです。
この時、具体的方法として、相手をみない、という稽古方法があります。
相手と軽くアタマをたたき合うぐらいの組み手が出来る人は試してみてください。
相手を良く見て対応する場合と、相手の顔の横、そしてその奥の壁を見てると、視野の端っこの方に相手がいるのが「わかります」。
じっと見ていなくっても、私たちの目は相手がどこにいるのかをとらえているんです。
 
これぐらいの見方で軽い組み手をしてみると、手が居着かないんです。動きが止まらず、なめらかになります。
もちろん、受けの技術、さばきの技術がなければダメでしょうが、特別すごい受けが無くてもいいんです。普通でいいの(笑)。
 
通常、相手をじっと見ると、相手が攻撃してくるのが「わかります」。その分かった瞬間、その攻撃に対して受けをだすんです。
これが型のように決められた動きだけであれば一つの攻撃に対して一つの受けをあわせればいいんですが、組み手となると、相手の攻撃に対して受け手が間に合わなくなります。後手ですからね。
 
見て、わかっているから、一対一にあわせてしまうんです。
その目の前の突きに集中しすぎるから次の一手に間に合わなくなります。
 
でも、この時、ぼーっと見ておくと、自然にぱっと、手が交わしてくれます。その手は考えて出したものではないので、受けが終わると、自然とまた、カラダに戻ってきます。このあたりのなめらかさが全然違うんですよね、目の付け方一つで。
 
 
 
周辺視野に関してはずいぶんと前に気づかせてもらっていたのですが、これが「勉強」にも有効なようなのです。
なぜ、甲野先生の話を聞かない方が上達したのか?
もちろん、なにも聞かない、ってのはお手上げです(笑)
ポイントは、その場所を共にしながら、見ない、って事。受付で仕事を片付けながら、今日はどんな話だろう?ってぐらいちょうど、組み手でいえば、周辺視野ぐらいだったんですよね。
 
 
甲野先生とは実際に手を合わせて、じっくり、丁寧に感覚を言葉にしてもらいながら技を受けることもあります。
でも、その時、いつも、「わからない」です。
そして、わからない事に振り回されて、自分を見失っているんです。
もちろん、そんなときにも、カラダは全ての感覚を覚えてますから、時間差で自分の頭にまでその瞬間の感覚がやってきます。
でも、最初から、わからない自分は横に置いて、その場、その瞬間の感覚を味わえばいいんです。
 
でも、それができないのが、私です(笑)。
だって、つい、気になっちゃうんですから。
だからこそ、「具体的」なカラダの使い方が必要なんですね。
見ない、というのも視覚に振り回されないようにする有効なポイントです。
でも、つい見ちゃう場合もあります。
この時に有効なのがどうも「皮膚」なんです。
ついつい、カラダの奥の方をのぞこうとしてしまいがちですが、それをすると、いろんな思いをアタマが巡るんです。
筋肉って思考と関連があるかもしれません。
 
 
 
ですから、「超意識的」に、相手の表面である肌、皮膚だけをみるんです。
相手の表面からだけ得た情報は自分のココロを揺らさず、冷静に答えを持ってきてくれます。
自分がなにを見ているか、それを意識してみるだけでも、十分、すてきな稽古になります。お試しください。
 
 
 
でも、実際に遠くから、時間とお金をかけて参加した講習会で、セミナーの際に、まじめに聞かない、ってのを意識するのって難しいですよね(笑)。
分かっていても、得することはないか、ってみちゃうもんなぁ・・・。
こういうもどかしさも最近、楽しくてしかたありません。
 
 
 
しばらく告知に専念していたので久しぶりのブログでした。
考えていること、たくさんあります。そして伝えたいことも。
また、時間を作って、書きますので、暇なときにのぞいてください。
考え方、見方が変わると、自分の周りも変わってきます。
そんなダイナミックな世界を生きているんです。一緒に、探検してください。

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