昨年、中日文化センターの方から「古武術の講座」を依頼され時、自分が伝えたい事が、「講座」という形で伝える事ができるだろうか・・・と考えました。というのも、普段の私のスタイルというのはカリキュラムのようなものがないからです。常に今の自分に必要なもの、求めているものはなんだろう・・・と問いかけながらしているからです。
普段の稽古というのは時間も自由、内容も自由、自由だからこそ「自分は何を?」という事が求められます。それに対して、文化センターの講座では時間が定められていますから、始まるまではとても不安でした。求められている事も「介護の技」が中心だという事もわかっていましたから。
技としての「手順」を伝えるだけなら、カリキュラムを作って伝える事のほうが有効かもしれません。ただそれでは「自分が変わる」という事が伝わらないと考えたのです。自分が「技」を学ぼうと思っていた時には全然上達しなかったからかもしれませんが。
「技」を学ぶのではなく、自分を観る、という事が大切だと知ってからは常に発見の連続、甲野先生がよく言われるように「スランプ」はなくなりました。誰かと競い合う事で、自分を見つけるのではなく、今の自分の殻を破りつづける事で自分というものを考えて欲しかったのです。だからこそスタイルを変えずに「カリキュラムを作らないまま」で講座をスタートさせました。
不安の中ではじめた文化センターでの講座でしたが、そこで大きな出会いがいくつもありました。自分が伝えたい事は、言葉ではなく、姿勢で伝わっていくことが分かったのです。気がつけば本当に伝えたい事を理解してくれた人もいます。この事実にどれだけ勇気をもらったか分かりません。
勇気をもらうたびに、やはりカラダを通してココロを伝えていこう、という気持ちが強くなってきました。生き方に正解はありません。ただ自分の納得できる道を探すだけです。その時自分のカラダの声、ココロの声が聞こえればどんな結果が生まれてきたとしての、受け入れる事ができるはずです。形だけの強さでなく、そういう人間としての強さを求めて稽古を続けているんですね、一緒にがんばりましょう^^