【身体感覚の足跡】手のひらの発見

手首で止まっていた力がいったん流れ出すと、それまでとは全く違った動きが次から次へと出てきます。手のひらが動く、という事を見つけたのも手首が動き出して、すぐでした。
 
とにかく力任せに握る動きから一転して、柔らかさを求めました。講座に来ている人はこの急展開を楽しめなきゃ、続きません(笑)。決まりきった基本なんて、無いんですから!!
 
まぁ、その瞬間、自分が一番情熱をもって稽古できる事を伝える事がなによりの指導になる、というのは甲野先生が教えてくれた事です。基本どおりになにかやりたい人は山ほどありますからね。自分が出会ったものを心底信じられる、と思えれば、基本どおりにガンガンやると楽しいと思います。ただ、私には自分の身体を信じきる能力が無かったのか、それが出来なかったんです。基本が正しくても、それを自分ではできない、って思い込んでいました。だから、こうして、一つ一つ、自分の身体のすごいところ、素晴らしいところを確認しながら、稽古しているんです。本当はやらなくても良いことなんですよ、きっと(笑)。
 
ただ、これがものすごく、楽しい。自分で自分を褒める稽古です。楽しくないはずがありません(笑)。自分で疑い、問いを作り、答えを出していく。すると、どんどん自分の中が拓けていくんです。
 
手のひらもそんな感じでした。未開の地というか、自分の身体の中の新天地です。
 
手のひらを開いたまま、もぞもぞ動かしてみてください。
動きますよね?
指はなるべく動かさないように・・・。
もぞもぞ、どう動いているのかわからないぐらい、微妙に動きます。
コントロールはなかなか出来ないかもしれません。
でも、それがいいんです!
自分でもわからない動きは相手にも全然わからないんですから(笑)。
 
 
こういう実験をします。
お互い向かい合って、手のひらを合わせます。そこで押し合うんです。
普通、力が同じような場合、合掌造りのように、力が止まります。
でも、この時、手のひらをもぞもぞっと動かしてみると、相手はすぅ~っと崩れていくんです。
手のひらを動かすからね、の一言がないと、相手は自分がなぜ、崩れたのかわからないみたいです。いや、動かしてるんだよ、と言ってもわからない、と言われる人もいるぐらいです。
 
手のひらは「掌」、「たなごころ」、「手の心」です。
昔の人はこの手のひらに心を見たんじゃないかなぁ、そう考えています。
正解はいらないですよ(笑)。自分の身体でそれを感じた事が嬉しいんです。
もし、自分の心を誰かに伝えたい、と思ったとき、それを伝える身体を持っている、とわかったんですから、嬉しくないはずありません。
 
 
そうそう、大丈夫。手のひらに才能ってありません(笑)。
皆微妙に動くようになっています。
それどころか、機械的に動かせる人、見たことありません。
ただ、動かないと思って、固まっている人がいます。たくさん。
後は、試すだけです。ぜひ、試してみてください。

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