【反射神経】その3 指先がかってに動いた

それでは気づいた時の事から順にお話をしていきたいと思います。

手順としてこうやればいいよという、目安はありますが私自身が、その動きが現れた時に驚いた気持ちも一緒に共有してもらえるとより楽しい気持ちになれるかと思います。

気づきは本当に唐突でした。それまで全く考えたことない動き方だったのです。その頃の術理は「点の術理」でした。屈筋と伸筋をしっかり意識して、どちらかに偏ることなく、その間に動かない点を作るように動くという使い方でした。

人間はいつまでたっても欲深いものです。どんなにすぐれた技であっても、不思議と飽きてしまいます。動きにも紅葉のような瞬間があるんですね。その退屈感が新しい出逢いをまた作り出してくれるのです。

ぎゅっと掴まれた手をどうにかしようと考えた時に、ちょっと動きたくなったんです。きっと手が退屈していたんだと思います。動きたくてしょうがない状態だったんですね。

ふと指先が、相手の手を巻きつけるように、クルっと動き出しました。その瞬間、それまで感じたことのなかったような軽さに気がつきました。

一瞬信じられませんでした。掴んでいる相手が気を抜いたのかなと思ったんです。もう一度相手にしっかり用心してよ、と頼みながら、指先から巻き込むように動いてみました。何度やっても相手が抑えようとする気持ちをするすると、抜けだして行けるのです。

指先から動いている時は自分の中に困っているという感情が全くなくなります。動き始める前にはこんな状態抜け出せるはずがない、そう不安だらけな状態なのに、いざ動き始めるとまったく、不安が消えているのです。

いや、もう少し丁寧に表現すれば、不安な自分はそこに置いたままもう1人の自分、指先の自分がドンドン相手に向かっているような気がします。

その勢いのある指先に引かれるようにして、不安な自分も結果的に相手の中に入って行くわけです。

いったい、この指先から動く動きはどこまで有効なんだろう、そう考えて自分が知っている限りの動きに応用してみました。必要なのは指先が動くだけです、どんな動きにも使う事ができます。

・・・驚きました、それまで自分ができない技も、まったく、不安無く、するすると、こなすことが出来てしまったのです。

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