【稽古日誌】ナイフからハサミに進化するかも

大垣の中日文化センターは今日から新しいクールが始まりました。
この大垣中日文化センターだけは、初回体験、その後の5回で一クールって流れになっています。
これはこれで、毎回新しい人との出会いがあって、楽しくさせてもらっています。
 
 
初回の昨日、なにを話そうかと思いましたが、受講者の顔が分からなければやっぱり決まりません。という事で、やっぱり、今回もカリキュラム無しで向かいました。
 
 
講座の開始前、雑談をしながらふと、この5回で伝えたい流れを話してみようかなぁ、と思いました。
先を見てもらう、想像してもらう事で、稽古が進むかもしれない、そう思ったんです。
武術の世界には「技・術・略」という考え方があります。
解釈はそれぞれですが、昨日の流れの中では、
 
技は個別のパターン、形の中で出来るようになることを。つまり、手順です。相手も素直に受けをとってくれれば、その形の中では「出来る」というのがわかります。実際に出来る、という経験が最初の一歩になります。
 
術は応用力。相手が力を入れたり、逃げたりしたりしても、それに振り回されずにちゃんと、リラックスする事。無限にある可能性を頭で覚えるわけには行きませんから、体に手順に縛られず体に任せる事学びます。
 
そして、最後に体を通して手に入れた新しい感覚から、これまでとは違った視点を持ってもらいたいです、と伝えてきました。
 
 
 
うんうん、と頷いてくれてはいましたが、きっと、最後の視点の話なんかは全然分かっていないはずです(笑)。
でも、いいんです。それで。
武術の可能性として、体を動かしていく先には幸せになるコツまで続いている、って事を知っておいてくれる事が大切だと思ったので、お話しました。
 
 
 
なにを学ぶにせよ、僕らの中にはまず、先入観、期待感があるよね。
とくに、文化センターのようにたくさんの講座の中から選んで、大切なお金と時間を使うものは必ずです。
その期待感は大切だけど、それが逆に可能性を閉じてしまう事にもなっちゃうの。
 
 
武術を通しての学びってのは、本当に広いくて、深いです。
だからこそ、少林寺拳法のように、心の問題にまで入り込めるものまであるんです。
ただ、多くの武道はスポーツ化をしています。スポーツ化すれば、自然に順位を競ったり、体を動かした事での気持ちよさ程度で満足しちゃうかもしれないでしょ。
 
 
 
僕が伝えたいのは、この自分の体を通して自分ってなんだろう?って考えて、それまでに見てこなかった自分を見つけて、楽しく生きていく術です。
今の時代にはちょっと似合わないぐらい固いものかもしれません。
でも、流されていけば生きていける「今」だからこそ、自分が主体になって、生きていく方法を伝えて行きたいと思ってます。
 
 
 
この生き方をしなさい、と押し付けたいんじゃないの。
実はどんな生き方でもかまわないと思っています。
現代は昔のように単純に善悪が決めれない時代です。原発の問題でも意見が分かれてるし、経済の問題もこれまでのように大きくしていく事を望んでいる人もいれば、経済的発展をやめ、自然に帰るような生き方をしたい人もいるよね。
たくさんの知識を得て、たくさんの可能性があることを知ってしまった以上、それらを選択するのは一人一人の決断ですから。
この先、一緒にいたいと思っている人とも、どうしても敵と味方に別れてしまうこともあるはず。でも、そんな状況でも、自分にとっての幸せってなんだろう?って事と向き合って、自分らしく生きていく事をお互いが考えていれば、敵と味方同士であったとしても、相手を受け入れ、生きていくことはできると信じています。
 
 
 
この「立会い」こそ、武術が求める間合いです。
 
おっと、つい、言葉が過ぎてしまいました(笑)。
でも、安心してください。昨日の文化センターではもっと優しく柔らかく、お伝えして、介護の技中心にして、楽しく、笑いながらお稽古してきましたから。
それがやれるのも、カリキュラムの無いカラダラボ流の講座の特徴です。
 
 
 
実はもう一点、お話したい事があります。
昨日の夜、「紙を破る」という動きがふと、思いつきました。
紙を破るその瞬間、左手と右手は連動し、力む事ってないよなぁ・・・って。
実際に紙を破いて見ると、両手の指先がそれぞれの役割をちゃんと行い、スムーズに破いていました。
 
 
この二つの手は連動しているんです。
当たり前と言えば当たり前なんですが、その事を実際に自分の体で感じた貴重な出来事でした。この二つの手がまるで、ハサミのような関係にあるんですね。
そんな事を考えた昨夜でしたが、今日、歩いていた時、両足にもつながりがあるのを感じました。
 
 
つながりって大切なんです。
このつながりに気づく事で、そこに法則を見つけることが出来るようになります。
依然お話した、仙骨と肘の関係も連動でした。
その連動を見つけたおかげで、軽やかに体を動かす事が出来るようになったのです。
 
しかし、その後に気づいた肘から先を道具にして動くという術理は連動と言うよりも、子供に振り回されている親のようなつながりです。確かにつながりはありますが、すこし、乱暴でした。
 
 
今日、気づいた左右の手足の連動はまさに、連動。つながっているんです。
今まで、その連動に気づかず、つい、片手、片足に気をとられてバランスを崩してしまっていたかもしれない、と想像しています。
 
 
 
さっそく、この見つけたばかりの連動を研究して見ると、なかなか面白そうな動きが見えてきました。今の時点でわかっているのは、ナイフからハサミへと進化できるかもしれない、という事です。
また、ちゃんと調べて、少しずつ、言葉にしていきますね。
今日も、お付き合い、ありがとうございました。
 
 
 
さて、どんどんと動きが変わっていってしまい、今の術理が置いてきぼりになっていってしまいます。ちょっとずつでも紹介していきますね。下の動画は足指に引かれて動いたものです。黒い服を着ている彼はこの時、初めて、足指から動く事を学び、試したところです。「どっこいしょ」ってのが消えているのが伝わるかなぁ・・・。

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