【稽古日誌】逆小手3年・・・でも、20年

最近の興味の対象は「皮膚」。もう、それは何度も書いてきた事だけど、改めて、この気づきは大きなものだって感じています。
 
今日は少林寺拳法の話をします。めずらしいでしょ(笑)
少林寺拳法の技に「逆小手」というのがあります。
まぁ、形はどこの流派にもある「小手返し」に似ている技ですが、それを手首、それを脈部を握られた状態から行う技です。
脈部というのは力みを生みやすいところでもあり、流派によってはそこを持たせないようにと説いているところもあるそうですが、少林寺拳法ではほぼ、最初に学ぶ技になっています。
 
 
 
当然、私も子供の頃から何度も練習してきた技の一つですが、これが、どうも納得いかないものばかりだったんです。
苦手、というほど苦手でもないんですが(まぁ、形がシンプルな技ですから・・・)、それが「逆小手」か?と聞かれると、そうじゃないかも・・・なんて感じていました。
 
それが、一昨日、あぁ、これが逆小手だ!って、納得したんです。
まぁ、やっている人にしかわからない喜びですよね(笑)
それでも、逆小手を上手になりたい、と思ってから20年以上たってやっと得た初めての納得ですから、ご勘弁を(笑)
 
 
 
この納得感を得たポイントは一つ、崩しから掛け手、極め、投げのための体捌きが全部、一連の動きでつながった事です。
ちょっとマニアックですが、書いておきます。参考になればいいんですけど。
 
それでも、多分、言葉にすると、「普通」なんです。
きっと、これまで、どこかで聞いたことのある説明だと思います。
むしろ、その今まで聞いてきた説明どおりの動きを行うと、こんなにもスムーズになる事がうれしいんです。
 
右手首を右手でつかまれます。
その瞬間、カギ手になり、相手を崩します。
その時のポイントは拇指球で相手の手首を折り、崩します。
その後、左手の掛け手で(目打ちは省略。まぁ、当たり前、という事で。)、体勢を前方向へと繰り出します。
次に来るのは掴まれている右手を抜く動作。逆小手ですから、ただ抜くのではなく、抜いた後、前腕部で相手の手甲側を攻め、肘を出させます。
十分に崩れたところで、体捌き、全てが「一連の動作」としてつながると、しっかり掴まれていても、技が完成します。
 
細かい点を挙げればいくらでも出てくるでしょうが、伝えたいことは一つ。「一連の流れ」を途切れさせずに行うこと。
でも、こんな事、逆小手を練習している人ならば、当たり前な事です。
ただ、頭でどれだけ、止めずに、行う、とわかっていても、それが、難しいんです。
 
体を持った相手がいることですからね。一人で勝手に動いているわけではありません。
この相手と自分との間に衝突がある、という事を学ぶことができるのが、組手主体という特徴をもつ少林寺拳法ならでは、です。
しかも、この時、相手を倒せばいい、という問題でもありません。
その練習で要求されているのは「逆小手」という型なのですから。
ただ、相手を倒すため、強くなるためであれば、たくさんの形を学ぶ必要ありませんから。
 
 
 
二人であるから流れが作れない。まぁ、それは当たり前なんですが、それを追い求めて20年だと思ってください(笑)
その流れなかった技を流してくれた「考え方」があるんです。
それが「皮膚」です。
 
 
 
私たちは誰でも、そこに、皮膚、肌を持っています。
でも、この皮膚のことなんて、技の中ではほとんど、考えてきませんでしたもん。
それが、昨年末、12月28日に皮膚の働きに気づいて、これまで、ずっと、自分の持つ皮膚の働きを探してきました。
その働きの一つは人間は「皮膚をコントロールされると抵抗しにくい」、という事です。
その考えにたどり着き、逆小手に試して見ると、今まで流れなかった動きが気持ちよく流れていったんです。
 
もう一度、その技の注意を皮膚の側から書いてみます。
 
 
 
右手を右手でつかまれます。
自分の拇指球、それも、付け根に近い部分を意識して、相手の拇指球に引っ掛けます。
引っ掛けて見ると、そこに「圧力」があり、「摩擦」を感じられるはず。
その摩擦感を大切にして、相手の拇指球の「皮膚」を引きずる様に引いていきます。
この時、少しでも、相手の肉の部分に入っていくと、抵抗され、動きが止まります。
感度を高めて皮膚だけを引きずります。
 
この右手の拇指球が第一走者、次の動きは第二走者へバトンタッチです。
第二走者は左手の掛け手。
右手で肌を引きずったまま、その肌を押し出すように、左手を相手の脈部に触れます。
この時も注意するのは皮膚だけを押し出す、という事です。右手の動きと左手の動き、つなげるのは「皮膚」です。「皮膚」という同じものを動かしているからこそ、動きに流れが生まれます。
 
この左手掛け手がうまくつながると、掴んでいる相手の右手が上方向へと動いていきます。
イメージは1回転するジェットコースターです。ジェットコースターのレールのようにドーナツが出来ます。そのドーナツの内側を右手と左手の掛け手で動かしました。うまく流れていると、自然と、右手が抜けてきます。
 
第三走者は右手です。ちょうど、前腕部が相手の右手にかかっているはず。この時、つい、強く相手を押し込みたくなりますが、気持ちを抑えて、やっぱり、「皮膚」に意識を集中します。
第二走者である左手は自然と相手の手甲に手を添えているはず、その左手と右手の前腕で手甲の皮膚を廻る方向へと流していきます。この時、ドーナツの外側を廻しているような感覚で行うと良いみたいです。
 
とにかく、大切なのは「皮膚」。その皮膚が方向を持って、止まらないようにどんどん伸ばされる事で、結果的に体勢が崩れ、投げになります。
 
 
 
・・・と、まぁ、マニアックな事をだらだらと書きましたが、伝えたいことは逆小手という技のかけ方ではありません(笑)
自分が悩み、苦しんで、困っていることも、解決する時にはあっという間だ、という事です。
そして、解決のためにはそれまで、考えもしなかったことに気づく事が必要なんだって事です。
 
もちろん、努力というのも解決には役立つかもしれません。
しかし、努力で解決しそうに無いから、自分の中で悩みになってしまっているかもしれません。
努力で解決出来ることなら、もうすでに、それを解決するための行動を起こしているはずですもん。
 
私は常に、体で解決できないか、って考えています。
たまたま、年末からの流れで自分の中に「肌」があることをしりました。
この肌を動かされると、いくら大きな力を出せる筋力があっても、抵抗できない、って分かったんです。
 
それが「分かる」というのが、見方、認識ですよね。
自分にはできない、絶対に、と思ってしまうと、夢も希望もなくなります。
私はそこに体を見るという事を知ったんです。
体を見てみれば、もう、底が見えないほどの不思議さを感じられます。
肌に気づいたのもそれです。
 
 
 
でも、この肌はずっと、自分の体を包み、そこにあり続けたものです。
きっと、今、この瞬間にも自分の事が信じられない人もいるはずです。
まぁ、落ち込む事も大切な事ですが、もうだめだ、と諦める前に、ちょっとだけ、自分の体の事を考えてみてください。
誰にも等しく、ちゃんと、あるんです。カラダは。
カラダには期待して良いと思いますよ。
 
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