悪意と善意の連鎖の話

力にはカラダから出る力だけでなく、ココロが受け止めたことで、カラダに現れてくる力があります。その元となるものを「興味」と名づけて稽古をしていますが、集中力の事を考えるようになり、ココロが受ける力もしっかりと集めて使っていかなくては、と思うようになりました。

「力」として認識できる概念が拡がったからなのでしょうか、自分から生まれている力が繋がってまた、戻ってくる事に気づきました。
 
 
 
今日は、力は連鎖していく、というお話です。
 
 
 
チョット前に山田ズーニーさんの本を貸していただきました。小論文の書き方だったかな?普段あまり読まないジャンルの本です。書き方、といってもそこにあったのは気持ちを伝える、という事でした。そのためには自分の気持ちに正直にならなければなりません。

その本の中に悪意の連鎖、という事が書いてありました。正確な中身は思い出せませんが、意図しない中で繋がって「しまう」ものがあるんだ、と言う事を教えてもらいました。

無意識に働いている力が小さなものなら構いません。ただ、どうも知らなかったでは済まない話しかもしれないのです。もちろん、読み終わったときにはなにも変わっていませんでした。ただ「連鎖」という言葉はココロに残りました。なにが、どうやって繋がっていくのかな・・・?と。

本に出会ってから数ヶ月、ようやくカラダを通して理解が出来たのか、「連鎖」という言葉がぴったりの感覚が生まれてきたんです。カラダに現れている力は恐ろしいほど相手に向かっているし、自分も気がつかないうちに受け取っているみたいなのです。連鎖しているんですね。
 
 
 
もう一度言います。力は連鎖していくんです。この時の力は具体的な力ともいえますし、言葉や態度を介して行われるココロが生み出す力でもあります。
 
 
 
例えば自分が応援されることで力をもらうとします。楽しい気分で他の人に会えば、その人にも楽しさは伝わって行くはずです。

もしこの時、自分の楽しい気持ちを相手が受け入れずに、ヤキモチのような気持ちを持ったとします。「いいなぁ、お前は気楽でさぁ・・・」なんて。これは、こちらの楽しい気持ちが繋がらながった、と言うことです。相手に不快な思いをさせてしまった事も問題ですが、それは自分の楽しさの表現がまだ足りなかった、という事なので、もっと向上させていくしかありません。

問題は相手がイヤな気持ちを持っていたことに対して、自分がイヤな気持ちを持ってしまった事です。これは相手からのイヤな気持ちがこちらに伝わってしまった、と言うことになりますよね。

こちらの楽しさの感染力よりも、相手のイヤな気持ちの方が強かった、と言うことです。
 
 
 
問題はここから。相手からもらったイヤな気持ちはどこに行くんでしょう?気がつかない間に相手からの嫌な気持ちをもらってしまい、自分の機嫌が悪くなった状態で人に会えばそのイヤな気持ちが関係のない第三者に自動的に伝わってしまう可能性があります。
 
 
 
例えば機嫌がよければ子供が片付けをしていなくて遊び回っていても、それは元気だなぁー、とにこやかに過ごせます。しかし、機嫌が悪かったのなら、片付けのしない子に向かって怒ってしまうかもしれません。

ここで確認をしておきます、どんなに機嫌が悪くても優しい気持ちを持ち続けられる人には話しをしていませからね(笑)。そういう人になりたい気持ちはとっても強いですが、どんなに優しく、見守りたい、と言う気持ちがあってもなかなか機嫌の力には勝てないんです(泣)
 
 
 
ただ、それは無意識の力を理解していなかったから。自分が機嫌悪くいることに対してそれほどの罪悪感を持っていなかったからなんですね。

でも、自分は悪くない、というのはどうやら大間違いみたいです。愚痴を言ったり、怒ってみたり、自分の不快を自分がそのまま出してしまえば、周りにいる人にその姿、態度を見せてしまう事になってしまいます。自分自身は怒りや不満を外に出すことで、発散できて満足が出来るかもしれません。無意識的にも。でも、自分の自覚のない態度がこんなにも人に嫌な気持ちを持たせてしまっているとは・・・気づいてしまった以上ほっておくわけにはいけません。
 
 
 
悪意も善意も、とにかく、自分の中の気持ちは周りにいるたくさんの人に繋がっていってしまうんです。
 
 
 
この時、相手に悪いから機嫌を悪くしておくのはやめよう、と言うのもひとつの理由です。

でも、そうすると自分の中に敵と味方を作ってしまいます。味方だと思った人にはどんなに機嫌が悪くても、大切な人ですから、気分良く接したい、そう思えるのは普通です。その伝わる気持ち良さが、また他の人に巡っていくからです。

しかし、それが敵だと思ってしまった人ならどうでしょうか?自分の中の嫌悪感が、その人を経由して、また誰かにぶつけられるかもしれません。そのだれかはまた自分よりも弱い立場の人に自分の中のイヤな気持ちをぶつけていくことになります。例えば、その人の子供とかに・・・

この悪意の連鎖はどこまで続くのかな?どこかで止まる、というのが「確か」であればまだいいのですが、他の悪意とつながり合ったりして、もっと巨大なものになるかもしれません。ずっと存在したままと考えると怖いです・・・

どこで使われる用語だったかな?バタフライ効果、というのがあります。アメリカで蝶々が羽ばたいたことで生まれた風がめぐり巡って世界の天気まで影響を及ぼす、と。巡っていく間に色々な要素が絡み合い、どうなるか予測が不可能になるわけです。
 
 
 
連鎖の力を認める事で自分が無意識でしている悪さに気づきました。言葉や行動はもちろんですが、態度もそうです。ただ「立つ」という姿も、イヤな気持ちで立つのと気分良く、楽しく立つのとでは、それをみている人の気分は変わっているはずです。

イヤな気分で立ち、なにもしてないだろ?と言われても、イヤな気分にさせられました、と言いたくなります(笑)。じゃあ、気分良く立つってどんな風?と考えてみると、結果的にこれまで工夫をしてきた、より力のこもった立ち方なのです。

心と身体は一つのもの、といっていますが、本当にそうなんだ、と実感します。
 
 
 
普段の生活を考えれば、そこにある動作や行動はじつに複雑です。どんな言葉を使うか、というのもそうですね。

これは正しいか正しくないかではないんです。どんなに正しい事であってもそれを受け取っている人がイヤな気持ちを持ってしまえば、そこから機嫌の悪さが繋がって行きます。むしろ、自分が正しい事を言っている、と信念を持ったときこそ大変かもしれません。正しい事だからといって、相手に嫌な気持ちを生まれさせてしまえば、恨みにも変わってしまうかもしれませんから。

理論の成否ではない、というのは現代ではかんがえにくい事かもしれません。それでも不機嫌はつなげてはいけません。
 
 
 
だからこそ、伝え方を考えなくてはいけないのです。目の前の相手を敵として認識をして向き合ってしまってはどうしても厳しい言葉や態度になります。

難しいのは当たり前、それを理解した上で大切な人と思う事が出来ればいいですよね!
 
 
 
ここで、一つ嬉しいお知らせがあります(笑)

実は相手のために機嫌良くするのではありません。自分の力は出せば出すほど帰ってくる力が多いのです。この辺りのことはまた別の機会にまとめたいと思います。とにかく出したものは帰ってくるんです。
 
 
 
応援されている力を意識すると、そこには元となる種があるように感じます。自分の力に賞味期限がある、というのはお話しましたでしょうか?奪われまい、としてカラダの中に力をためてしまえば、やがてそれは腐ってしまい、お荷物になってしまいます。

自分の持っているモノを手放せば手放すほど、また戻ってくるんです。この時、恨みや呪いとして外に出し続けるのは大変です。イヤな気持ちは身体を緊張させますから。そんな状態を続けたら倒れちゃいますよね。嫌な気持ちを続けるのはカラダにとって負担ですが、楽しい気持ち、応援する気持ちはその逆で自分のカラダをリラックスさせてくれます。
 
 
 
相手のためなんだけども、自分のため。矛盾していますが、つながつているんです。矛盾を、矛盾無く、矛盾のまま、というのは甲野先生から教えていただいた言葉です。どうしても答えを求めてしまうのはアタマの癖なので、仕方ありません。難しい問題ですが、カラダに聞く事が出来れば何とかなりそうです。
 
 
 
自分のために、というのであれば行動も起こしやすいのが人間です。それが元になって行動を始められたときに、相手のために、と考えてみるんです。これまで考えた事がない「相手のため」と。見方が180度変われば当然、考え方が変わります。考え方が変われば動きが変わってきてもおかしくありません。

興味のあるものと興味のあるものの間に興味がないものが見つかった、と言うお話をしましたが、視点が変わる事で考え方は全く変わってしまうのです。実は今日の話はちょっと前にお話をした「眼差し」についての展開なんです。

どうしたらもっと、喜ばせてあげられるんだろう。そう考えています。今までは自分の事で精一杯でした。余裕ができたら…じゃないんですね。

悪意が連鎖する、というのは恐ろしいことですが、楽しい気持ちも繋がってくれる、と思うと嬉しくなります。今こうして楽しく仕事が出来るのも楽しい気持ちやありがとうと言う言葉を頂いているからです。こちらこそ、本当にありがとうございます。
 
 
 
・・・う~ん、それにしても全然まとまっていませんね。普段の文化センターの講座でもうちょっとしっかりしていますのでご安心を(笑)。こんな稽古をしているのはアクテノンと定例での稽古ぐらいですから。

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