先日稽古に来られたGさんとお話をしていてちょっと面白い事を考えましたので聞いてください。
最近の稽古の題目は「認識」です。なにを見ているのか、気がつかないほど無意識に行われているのが認識です。
認識の例をお話しするのに役に立つのが「絵の描き方」です。例えば目の前のコーヒーカップを描こうとした時にカップそのものを描くとうまくかけません。特に僕は絵が下手というのを通り越して、描けません(笑)
そんな人に朗報です。上手に描く方法があります。カップを描こうとしてはだめだそうです。じゃあ、なにを描くのか。カップの方をみるのではなく、その周りを描くつもりで見るといいそうです。切り絵の枠の方を見るんです。そうやって描いてみると右脳を働かせて描いていることになるそうです。
で、そんな話しをしていたら、Gさんは昔、イラストを趣味にしていたらしく、それがすんなりわかったそうです。こんな話しをしてくれました。
カップを描いてから、その周りを黒で塗りつぶすと絵が崩れてしまうそうです。それを防ぐのに、白で縁取る方法があるそうですが、それはどうも嫌だったらしいんです。そこで、周りの方から描いていったそうです。丁度、そこに穴が空いているかのように、です。
そうすると、形がしっかりと残るんだ、と教えてくれました。おんなじですよね。僕がお話ししたのと。
みんなそれぞれの経験の中で色んなコツを持っているんです。こちらから色々とお話をさせてもらっていますが、それは「教える」事ではなく、「伝える」事なんです。全く新しいなにかを教えているのではなく、すでに持っているカラダの力、ココロの力がありましたよ、と伝えているんです。そして、もちろんそのココロとカラダの力は僕一人に備わっているものではなく、誰の中にも「すでにある」ものなんです。だからこそ、「伝える」が「伝わる」ためには、その人の中での経験と混ざり合っていく事が必要不可欠だと思います。
それでも、まだ、「自分には・・・」と思われる人もいるかもしれません。でも大丈夫!子どもの頃って誰でもココロとカラダを使いきって生きていたんですから。大人になって忙しくなりすぎちゃっているから、見失ってしまっただけなんだと思います。僕はそれに気づくまでに時間が必要でしたが、ココロとカラダの力を信じる事を目的にすればあっという間です。
今色んなところに行かせてもらって、たくさんの人たちとお会いしていますが、なにをしに行っているかと言えば、「あなたのカラダとココロは完璧ですよ」という事を伝えにいっているだけなんだなぁ、と思います。ただ、そのココロとカラダを疑ってしまう、アタマがあるんです。そのアタマを少しずつ、柔らかく、していく事が稽古なんだと思います。
実は、今日はこの話しではありません(笑)。ここまでは、前置き、前提です。長々とすいません(笑)。
さて、突然ですが、問題です。一日に十人と握手するとします。日本にいる人たち全員と握手するには何年かかるでしょうか?
道場の子供達に聞いて見ると、計算していないのか10年、100年、1億年!とバラバラな答えです(笑)ちょっとぐらい計算して答えろってね(笑)
計算して見てびっくり、35000年を超えちゃうんです!人と人とが出会うというのは当たり前では無いんだ、というのをすこしだけ、感じました。子供達もそう言われて、ようやくすごい事だと感じたようです。
好きな人、嫌いな人、ただすれ違う人、みんなスゴイ確率でであっているんだと考えると、もう少し一生懸命に毎日を楽しむ事が出来そうです。
人に出会うのは奇跡なんだよ、と考えてね~、とお話しをしたのですが、この話しをしようと思ったきっかけがあります。
最初に紹介したGさんのイラスト仲間の人があの、ドラゴンボールを書いた鳥山明さんのアシスタントだというじゃないですか。
アラレちゃんにドラゴンボールで育った世代としては驚きです。友達の友達の友達があの鳥山明さんなんですから!
奇跡の確率でしか会えない人の中で、つながっている道を見つけたんですから。
子供達にこう話しを続けました。
先生の友達の友達の友達の友達はあの、オバマ大統領なんだぜ!って。
まぁ、甲野先生でつなげて見たんですけどね。
子供達は驚いてましたが、その子供達からみれば友達の友達の友達の友達の友達がオバマ大統領になる訳です。
先日、甲野先生から人脈の使い方を学びました。勝手にです(笑)。
本当は繋がっているはずなのに、どこかでそのつながりが切れてしまっては人脈になりません。それは自分のためでもありますが、自分につながっている人のためにもなりません。
自分「ひとりで」できる事は多くないかもしれません。でも、世の中でひとりで行う事なんてありません。かならず誰かと一緒に協力をしてますよね。応援される事、応援する事を得意にする事が大切なんだよ、というお話です。
人と出会う事を自分ひとりのチカラで成し遂げようとすると「運」が必要です。だって、日本中の人と出会うのに何万年もかかる訳ですから。でも、誰かのチカラを借りれられるとすると、もう、すぐそばにいる事になります。
そう考えれば、敵を作りながら一番を目指すだけではなく、どう、友達を作っていくのか、という方法もあると思います。
そして、これは自分だけの問題ではありません。自分にとって大切な人、チカラになってあげたい人にであった時に、じぶんがたくさんの人とつながっていて、応援されていれば、その大切な人のチカラにもなってあげられますよね。
自分が「気にいらないから」という理由で人を遠ざけてしまえば、チカラになってあげたい人のためにもなりません。あらゆる事が自分のためなのか、人のためなのかわからなくなってきました。たぶん、回っているからです。
僕が教えている武道では半分は自分のため、そしてもう半分は他人のために幸せを考えよう、という教えがあります。ちょっとだけ、その教えがカラダでわかりました。
アタマで考えれば「あたりまえ」の事なんです。でも、その当たり前の事が「できない」から色々な悩みが生まれてきます。誰だったかな?やってはいけないことは3歳の子でもわかる。でも、70歳になってもそれを止めれないんだ、と言われていました。アタマが重要視されるこの時代だからこそ、知識を行動に移すためになにかをしなくてはいけません。僕は、それがカラダの事をすごいんだ、と見直すことだと思っています。