【身体感覚の足跡】指先は力の出口

武術の稽古を始めて初期の頃に見つかった「力は流れる」という事。意識できる身体の部分が二つあれば繋がりますから、わかりやすいかと思います。その力の流れが、手首までやってきた時、「くそ握り」という方法で手首の山を越えて、「手のひら」まで力を流していける事に気づきました。手のひらが動く、動かせる事に気づき、これまで以上に微妙な動きが出来るようになりましたが、まだまだ終わりじゃないんです。
 
手のひらの先には指があります。「指アーチ」として、指に力を入れる方法を紹介しましたが、手首から徐々に指先へ力が向かったときには全く逆の動きになります。力をためるのではなく、流すように使います。
 
指先へ流すとそこは行き止まりに見えます。でも、この指先が力の「出口」の役割も果たすみたいなんですね。
 
親指をぐっとつき伸ばしてください。どうですか?よ~く見ると、アーチが出来ていますよね。そのカーブを壊さないように力を入れていると、カーブに沿って力が流れていくんです。
 
この親指はスプーンみたいです。固いアイスクリームにスプーンを入れる所を想像してみてください。丸く、表面を薄く削いでいくようにしますよね。この動きがいいんです。相手にぶつかることなく、力を相手に渡す事ができます。
 
この丸い動きは直線的な力では抑えにくいものです。
重さに対しても力をぶつけさせずに常に角度を変えるように、入っていけるようになります。重いものを持つときなど、この指の使い方をしっているだけでも十分役に立つかと思います。
 
ここでもやはり大切なのは、この指が出口になる、という実感です。
指先まで意識を通して・・・とはよく言われますが、ただ、頭の意識を指先に飛ばすのと、身体の実感を伴って意識を飛ばすのとでは大違いです。見ているだけでは傍観者です。いざ、そこに力が必要なときに助けて上げられません。しっかりと、身体で指を感じる。そのための稽古が力をながし、手首を越えて、手のひらを動かし、指から流していく稽古です。
 
この指先の運転法は力が身体から外へでていく、という事に気づかせてもらった大切な動きです。

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