ウルトラマンを見て、あこがれて育った世代の僕らにとって、「変身」という言葉は特別な意味を持っている。仮面ライダーも戦隊ヒーローも変身する。今の自分とは違う存在にスイッチ一つでパッと変身できるヒーローに憧れてきた。
そんな幼い心も、年齢とともに現実を知ることになるけど、変身したいという願望が消えるわけではなく、表に出てこなくなってきただけ。自分以外の誰かになりたい、なんて思いは、テレビの中では楽しいことだけど、変身する前の体を持っている者としてはツライ。
資格取得もダイエットも変身する方法の一つだと思う。おしゃれを楽しむのもそうかもしれない。納得できるまで、どんどん変えていけばいいわけだ。
自分が変わっていく方法を持っている人、感じられる人は幸せだ。考えてみると、私は武術以外に自分が変われると感じられる事が全くなかった。なにをやっても、上手にできないことで、やっぱり自分は…と思ってしまうし、ダイエットやオシャレもうまくいった試しがない(笑)。これといった趣味も見つけられず、楽しいことがドンドン減っていくことに恐れを持っていた。
そんな中、武術だけはものすごく楽しいのだ。この楽しさはほかのものとは比べようがない。新しい動き方を見つかることで、出来ることも増えるけれども、その出来ることが楽しいわけではない。だって、それは機械やサービスの力を借りるともっと楽に、大きな仕事ができるのだから。
なぜ、こんなにも楽しいのだろう?その理由が「変身」にあったことに気がついた。そう、まさに、身体が変わるという事が変身そのものだったわけ。しかも、今までの自分を否定しての変身ではなく、ずっと、自分の中にちゃんと、いてくれた事が余計に嬉しい。
見かけはなんにも「変わらない」。でも、新しい動き、感覚が生まれた後は、それまでの自分とは全く違う自分になっているのを感じる。よし、ドンドン変身して行くことにしよう(笑)