稽古はあきらめを消してくれるもの。

暑い日が続く。
それでも、山に登れば気温がぐっと下がり、気持ちよく過ごせる。
毎年、暑いこの時期は奥さんの実家の山奥に引きこもったりするんだけど、今年はその山も暑い(笑)。
 
 
 
しかし、こんな暑くて気持ちがイライラするときこそ、「稽古」なのだ!
 
とはいえ、その「稽古」は道衣を来て、道場に立ち、剣を振る稽古ではない。
周りから見れば、「だらだらしている」ように見えるかもしれない「稽古」なのだ(笑)。
 
今日はその「稽古」について考えを書いていこう。いつものように、まとめてあることではないので、ちゃんとしたゴールに行かないかもしれない。あしからず。
 
 
 
今、私の行っている事、その全ては甲野先生のモノマネだ。それまで持っていたありとあらゆる常識を壊してくれたのが甲野先生。そして、その練習方法がぴったりと自分に合ったんだと思う。
なんと言っても大きな変化は練習への向かい方だった。
 
稽古という言葉は少し重い。つい最近まで自分の行っているのは稽古ではなく、練習なんだ、と思っていたぐらい。
でも言葉が変わるから、自分への向き合い方も変わってくる。だから、ぜひ、みんなにも「稽古の習慣」を身につけてもらいたいと思っている。
 
 
 
甲野先生の稽古はいつでも、どこでも、どんなときでもだ。
道場でだけはなく、喫茶店でも、居酒屋でも、車の中でも、手を合わせてくれる。
もちろん、そんな環境ではドッタンバッタンな動きは出来ない。そっと手をあわせ、動かすだけだったりする。
そんな小さな動きも甲野先生にとっては稽古なのだと思う。
 
そう、大切なのは稽古しているのは甲野先生なのだ。
技をかけられ稽古を付けてもらっている人は、ただ、かけれられているだけだったりする。
だって、そんな場所でなにを学べばいいかだなんて、教わったこと無いもん。
 
 
 
技は盗むもの、とよく言われる。
しかし、学校教育のおかげで盗まなくても、私たちは知識を得られる事を知ってしまった。
たくさんの知識を得ることには成功したが、なにかを自分の力で盗み取る力は失えてしまったのだ。
 
 
 
甲野先生は「気づく力」が自分にもある、という事を教えてくれた。
 
 
 
仕事でも子育てでも、人間関係でも、なにをやるにしても必要なのは「気づく」という事。今はこれが幸せに暮らすためには絶対に必要なものだと思っている。
たくさんの機械やサービスで私たちの生活は格段に楽になっている。
ちょっとした困ったことも、どんどん解決していってしまう世の中だもん。
 
でも、なかなか悩みはゼロにはならない。
むしろ、どんどん、細かく、個人的な悩みに向かい、解決策がないように思わされてしまう。
どんなに豊かで便利になっていて幸せそうに見えたとしても、心の中に解決できない人は幸せな人とは言えないだろう。
 
多くの人が正しい、と向かっている先にあるのが絶望だったら怖いな・・・。
 
 
 
武術の稽古は時代とは逆行している。
現代ではルールを決め、そのルールの中で勝敗を求める。ルール違反で勝ちを得たとしても、それが明らかになってしまえば、勝ちは剥奪、失格になる。それがスポーツだ。
 
しかし、武術は違う。
いつも、自分にとって、大変な場面を用意するところから始まるのだ。
相手が武器を持っていて、こちらが持っていない。相手が不意に攻撃を仕掛けてくる。こちらは一人なのに、相手はたくさん・・・そんな理不尽な状況も稽古となれば、受け入れるしかないのだ。
 
この時、武器を強くして対応する、というのは子供にも分かる考え方。相手が素手なら刀で、相手が刀なら、拳銃で・・・。
でも、それはどこまでいってもイタチゴッコになり、終わりはきっと、破滅だ。
 
 
 
相手を変える事で状況を解決するのではなく、自分自身を見直して、解決をする、それを求めているのが武術だ。
そうなると必要なのは自分自身を見直すこと。
ダメだと思っていることは本当にダメなことなのか、自分が今、恐れを抱いているのは何に対してなのか、とにかく、自分自身を見続けるのだ。
 
 
 
考えてみれば必ず答えはみつかる。
 
きっと、そのことを僕らは忘れてしまったのだろう。
自分なんかがなにかをしても、変わるはず無い、そうあきらめてしまう癖を付けてしまったのだ。稽古を習慣にすることが出来ると、どんな時にでも、たくさんの気づきを得ることができるようになれるのだ。
 
 
 
今、こうしていろんな事を書かせてもらっているけど、私自身はとにかく自己肯定度がまるっきり低い人間だった。自分には才能なんてまるでない、そう思っていたから、困った状況で自分に頼る事なんてまったくしてこなかった。誰かの助けを待つばかりだったもん。
 
 
 
そんな性格を変えることができたのが「稽古」だったのだ。
ただ、手を上げるという単純な技の稽古を繰り返すことによって、気がつくと、自己観察が「癖」になっていた。
なにか「技」を身につけ変わったのではなく、自分への向き合い方が変わったのだ。
 
 
 
うまく行けばなぜうまく行っているのかを感じ、失敗したときにはなぜ、うまく行かないんだろうと身体の中を探る。
すると、自分の体の中にそれまで気づくことの無かった「感覚」を見つけることが出来ることがわかる。
 
 
 
こうなってくると、目の前の失敗、成功ってちょっとどうでも良くなる。常に、自分自身との感覚との問題だから。
 
ただ、これは普通の感覚からするとギャップがあるみたい。まぁ、変な人に見られるってリスクがあるって事(笑)。
 
 
 
どういう事かと言えば、うまく行っているのに、じっと考え込み、喜ばない、失敗しているのに、自分の中で新しい感覚に気づいちゃったりすると、心底喜んだりするんだもの。
周りの人からの理解は得られにくいかもしれない。
 
 
 
でも、こうした事が自分の身体の声を聞く訓練となり、気づいていなかった多くのメッセージが身体から出ていたことが分かると思う。
 
その身体からのメッセージに耳を傾ける作業こそ「稽古」なのだ。
 
 
 
仕事が忙しくなり、運動できない、と言う人がいる。
ケガをして運動できない、という人もいる。
いろんな事情で思い通りの練習時間が持てないらしい。
 
でも、それは勘違い。どんな時にも「稽古」になるのだ。
 
 
 
今、座ってこのブログを書いている。
すると、時々、腰が痛くなる。その瞬間、腰の感覚が気になって仕方なくなるのだ。
少し背を伸ばして、腰を楽にする。すると、ちょっと緩むのかまた、ブログに集中できる。
 
でも、また、腰が痛む。
こんな事を繰り返している間に、腰が痛む感覚は短くなり、慢性的な痛みに変わる。
痛いモノを痛くないと思いこむという力を人間は持っているので、慢性的になってくれば感覚を鈍くして、気にしないようにさせるんだけど、これをしてしまうと、どんどん身体は鈍いものになってしまうのだ。
 
一時は良いのかもしれないけど、いつか、それも効かなくなり、どっと痛みが戻ってきたりする。
 
 
 
身体から出てくる痛みは全て感覚。その感覚を手がかりにすることで、それまでの動き方とはまったく違った動き方を手に入れることが出来るのだ。
 
間違えてもらいたくないのは、動き方を変えることであり、鍛えるのではないという事。
例えば腰痛で言うと、筋肉をつけることで痛みは抑えられるかもしれないけど、それは対処療法、もともとの原因を変えてしまうのだ。
 
 
 
今気にしている事、それは股関節。
最近のブログにもたくさん書いているけど、股関節はキャスターの構造をもち、自分の身体の重さから生まれるストレスをぴったりと流し、腰に負担をかけないようにしてくれる。
 
 
 
腰の痛みが出て来た瞬間、そこに「腰」が有ることがわかる。
丁寧に観察をすれば何番目の腰椎なのかもわかるだろうけど、いいんです、気にすることの出来なかった腰に感覚が生まれている、という事が分かれば。
 
 
 
きっと、今の自分の腰が自分の重さを支えきれなくなったことで痛みがでているんだろう。
じゃあ、それを股関節に任すことが出来れば腰は楽になるはず。
でも、思っただけではこの腰の痛みはなくならない。なぜだろう?
 
それは股関節に感覚がないから。
股関節がどこにあり、どうなっているのかがよくわからないから。
 
 
 
この時事典を調べて、股関節の構造を学ぶこともいい。ただ、私はそれ、ダメだった(笑)。
知識で股関節のことを学んでも、実感がないままでは痛みという実感を持つ腰に負けていたから。
必要なのはいかに、経験値を増やすか。
腰に負けないぐらいの経験を股関節にも作ればいい。
 
  
腰の痛みを手がかりにしながら、その痛みが気にならなくなる座り方はないんだろうか・・・とごそごそしたり、目を瞑ったり。
とにかく色々試すのだ。
 
 
 
こう書いていくと、そのうち腰の痛みが気にならなくなる座り方が見つかりそうな気がするかもしれないけど、そうは簡単にはいかない(笑)。
むしろ、もっと痛くなったりする。
簡単にうまく行くんだったら、きっと、たくさんの人がもう試しているはず。
 
楽な座り方が見つかるかと言えば、簡単には見つからない。だから、あきらめちゃう。
 
 
 
これは武術の稽古でもおなじ。
今、自分が出来ない状況を何とかしようと稽古するとき、色々試しても、まず、うまくいかない。何十年もダメだと思っていた状況が簡単に壊れるってなかなかアタマが信じないからだ。
今のこの時点はなにを試したとしても、自分の中に「あきらめ」が有る以上、なにも変わらない。
 
 
 
実は稽古は「あきらめ」を何とかしてくれるもの。
私たちはつい、目の前の困難を自分には無理、と思ってしまいます。周りにいる人は簡単にあきらめるな、君ならできると声をかけてくるけど、たいていの場合、無理無理とあきらめがやってくる。
  
 
 
一見、強固にみえる「あきらめ」だけど、出来てしまうと簡単に壊れてしまうのもあきらめのもう一つの側面。
出来た、という経験があると、今度はなにか違う条件が出てこない限り、あきらめはでてこない。むしろ、出来ることをあきらめてみよう、と思っても、無理(笑)。
 
 
 
この「あきらめ」を消す唯一のものが「経験」。自分には無理、と思っているアタマの中を変えるには出来るかもしれないと思える経験を積み重ねていくしかないのだ。
 
でも、ちょっと考えて欲しい。
今、自分の生活ってガラリと変わる事ってあるだろうか?
ほとんどの場合、昨日と同じだ。
何十年も前と比べれば格段に変化している生活も、毎日の積み重ねとなると、その変化には気づきにくいもの。
ついつい、昨日と同じ、という気持ちが強くなってしまっているのだ。
 
 
 
稽古ってのは自分の身体を改めて感じさせてくれる小さな経験。
座り方一つでも、ずっと、それを考えることで、いつか、峠を越える。
今、私の中にあるのは完璧に楽な座り方ではなく、峠を越え、いつかそのうち、楽な座り方を手に入れられるはず、という明るい未来だ。
股関節に任すことで、それが叶うはず、という自信がある。
 
 
 
実は現代は小さな経験すら難しい時代になっている。
どこに行ったとしても、人の手が入り、楽になっているから。
そして、ついつい、人は楽な方へと行きたくなるし。
 
 
 
 
だからこそ、稽古の習慣を自分のモノにして欲しいのだ。
同じ場所、同じ仕事をしたとしても、実は、毎瞬毎瞬、この身体は微妙に違う反応をしている。そういう事に気がつくようになると、毎日は退屈な連続ではなく、ちょっと楽しいモノに変わってくる。
 
人には同じ習慣を続けたい、という本能が有るみたいだけど、同時に、ちょっと変わったこともしてみたいという欲求があるはず。
そのちょっと変わったことをしてみたいという欲求を安全にさせてくれるのだ。
 
まさか、イスにゴソゴソしながら、稽古しているとはなかなか思われない。
そして、時々、気づきがやってくる。
その気づきはそれまで、求め続けてきた人だけにやってくるモノ。
どこにもその気づいたことが「正しい」と書いてなくても、自分の中に確実にこれでいい、という確信があるもの。
 
 
 
汗がボタボタ落ちる暑い日もじっと自分の内面に目を向けると、いろんな事を試せる稽古になる。
今、試しているのが顎。下顎をぐっと上に押しつけてみると、暑さがマシになったりするのだ。原因は分からない。気持ちの問題なのかもしれない。でも、気持ちを顎で変えられるのなら、遠慮なく使わせてもらう(笑)。
 
 
 
きっと人間って退屈が嫌いなんだろう。
どんなに便利になっても、退屈に縛られると、生きていく気力がなくなっちゃう。
こんなに便利でご飯も食べられる時代なのに、自ら死を選ぶ若者が後をたたない理由も退屈と無関係ではないはず。
自分自身、甲野先生に出会う前は楽しさを探しに、いろんなところに出かけた。家電もすきだったから、新製品を見てワクワクもした。
でも、外に有るものって無限に進化するものではないから、いずれ、限界に近づき、退屈がやってくる。
 
 
 
でも、身体感覚ってほぼ、無限。掘り下げれば掘り下げるほど、驚かされる。
なにも生活は変わっていなくても、その瞬間を楽しめられるようになるのだ。
 
 
 
みんな、誰でも、自分の身体に目を向ければ無限の楽しさが手に入るのだ。
その楽しさを持った上で、仕事でも子育てでもやってみたらどれだけ楽しいことか。
正解なんてどこにもないからこそ、これでいい、って確信が欲しいのだ。
確信は外に頼るものではなく、自分の内側に見つけるもの。
毎日の生活全てを稽古に出来たら、変わらない自分になることの方が大変。
 
10年後、20年後の自分は絶対に今よりも楽しい。稽古を通してそれを確信することができた。
自分自身に気づいてもらいたい、今、まだそれは困難なこと、と僕は感じている。でも、だからこそ、色々試し、工夫し続けるのだ。きっと、いつか、誰にでも自分を信じる事ができると、伝えられるようになれるはず。
 
 
 
 
そうだ、そう感じられるのはもう、すでに、それを受け取ってもらった仲間がいるからだ!
ありがとうございます・・・。
 
 
 
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稽古、講座の予定
8/24 大人の武道塾【浜松】
8/25 大人の武道塾【名古屋】
9/22 甲野先生の講習会【名古屋】
9/23 甲野先生の講習会【浜松】
 
会場、時間などはホームページで確認してください。
問い合わせは全て karadalab@gmail.com まで
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